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日本での親による子ども連れ去りの心理的な弊害

昨日はZoomで各地のお子さんに満足に会う事が出来ていないお父さんやお母さんと話をしていました。皆さんとてもお子さん思いのお父さん、お母さんで、この方たちに突然会えなくなってしまったお子さんの気持ちを考えると非常に胸が痛みました。

ふと話している中で、以前イベントでいただいた敬愛する心理学博士の小田切紀子さんの資料がお役に立てるかなと思い引用をさせていただきます。

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日本での親による子ども連れ去りの心理的な弊害

1.離婚は子どもにマイナスの影響、悪影響を与える

 離婚は子どもに負の影響を与え、離婚後も子どもたちと両親の交流を確保し、親の紛争に子どもを巻き込ませないようにしない限り、離婚は子どもに生涯にわたる悪影響を与え、子どもたちが感情的、社会的、身体的問題を引き起こす、複数の要因が示されています。通常、子どもたちは離婚の心構えは出来ておらず、両親は通常、離婚について十分な説明をしていないので、子どもたちは対処するのが難しくなります。

 日本の家庭裁判所は子どもの監護の継続性を優先するため、親同士の高葛藤、子と別居親の断絶、ストレスの多い生活の変化が容易に生じます。これらの問題は子どもにマイナスの影響を与えます。

 特に、親権がない親と関係が断絶されることが大きな問題です。子どもは父親に見捨てられて、もう愛されていないように感じ、最悪の場合、誰も彼らを気にかけていない、生きる価値はない、とまで感じてしまいます。

 更に悪いことに、親権を持つ親がパートナーなしで、一人で子どもを育てることが大きなストレスを引き起こすため、時に心理的、身体的に子どもを虐待することもあります。

2.親による子どもの誘拐(連れ去り)は児童虐待である。

 日本では離婚後に単独親権であり、親がもう一方の親の同意を得ずに子どもを連れ去ったとしても、日本では犯罪ではないと言うことを、知る事が重要です。児童心理学者の立場からすると、親による子どもの誘拐は児童虐待です。

 私達は子どもにとって、親に突然会えなくなる、親を失うことはトラウマ体験になりうることを認識する必要があります。このような体験は、うつ病、不安症、将来の生活での人間関係の発達を困難にするだけでなく、社会的、精神的、身体的な問題に、より大きなリスクの中に子どもたちを置くことになります。

 トラウマが子どもの脳にダメージを与えることが、科学的研究により明らかにされています。

 研究結果では、彼らは生涯にわたる注意集中の困難さ、感情のコントロール、課題処理の問題を抱えています。親との分離や離婚へのトラウマ的な反応は、子どもの年齢に基づいて異なって現れます。乳幼児期(3歳~6歳)で、よく見られる問題は、言語発達が乏しい、叫んだり、普通以上に泣く事が多くて、そして新奇の状況や、他人への恐れです。児童期(6歳~12歳では、学校生活に適応することや行動を律することが難しかったり、絶望感などが挙げられます。年齢が13歳~18歳の思春期には、学業成績が低下したり、学校からドロップアウトする割合が高く、早期の性体験と、孤立感や低い自尊心に苦しんだりします。

 このようなトラウマ的な経験から子どもを保護するために、別居親との継続的な交流が不可欠であり、それは健全な親子関係を発展させ、離婚後の生活に適応するのに役立ちます。さらに研究で、それが同居親と別居親の両方の親自身の幸福にも良いことが示されています。

3.子どもの意見や見解

 子どもが家庭裁判所調査官やその他の専門家に意見を述べる前に、自分に関わることについての情報を子どもに与えなければなりません。一般に、子どもは親権または同居の親からの一方的な情報が与えられており、一方的な情報に基づいて子どもたちは意見を求められます。問題は誰が子どもに状右方を与えるのに適切かである。家庭裁判所の調査官は裁判所によって命ぜられた子どもの見解のレポートを作成するために、子どもたちとのインタビューを行うので、調査官はこの任務に適切な人ではありません。子どもの代理人が最も望ましいですが、ほとんどの場合、彼らは任命されません。理想的には、児童心理学者が、事件の最初から子どもの利益を守るため任命されるのが好ましいのです。

4.日本社会での共同養育の啓蒙

 子どもたちをマイナスの影響から守る重要なことは、子どもが両親双方に愛されていると感じる必要があることを親たちに理解させ、共同養育のスキルを向上させるための離婚後の親教育プログラムを受講させることです。さらに、両親は離婚するときに一緒に養育計画書を作る必要があります。米国、カナダ、EU諸国のような他の多くの国では、両親は家庭裁判所に子育て計画を提出し、離婚手続き中に離婚後の親教育プログラムに出席しなけrばなりません。しかし、日本の離婚法制度の下では、離婚後の親教育プログラムに参加し、養育計画書を作成、提出することは必須ではなく、任意です。日本は離婚手続きの際に子どもを最も優先するべきです。そして、日本の社会は子どもが、親の離婚後も両方の親と交流できる権利を保障し、離婚後の共同養育を提唱していく必要があります。





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