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エレン先生、数学を語る

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受験数学に毒されてしまった秀才さんのために、エレン先生が易しくモノホン数学を叩きこむよ
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記事一覧

量子力学に伴う「こんな親戚の人いたっけ?」感覚について

線型性とか双対性とか、数学には「〇〇性」が頻繁に出てきます。 厄介なことに、物理学を学ん…

KK
4日前
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量子力学はどうしてこう初学者に冷たいのか

愚痴まじりの前振りから これまで何度か吐露したことですが、私はある段階よりずっと、数学…

KK
5日前
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ブラケット記法で数学の内積を記したらいかんの?と大学生らしき方が呟いていたので「それ共役複素数に特化した内積やよ」と返信。どうやらディラックがこれを発明した経緯を知らないらしい。考えてみれば量子力学の教科書は冒頭から「はい覚えましょう」が目立つね。私が何か解説を書き下ろすべき?

KK
5日前
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迷える数学学徒&物理学学徒たちに、そっと耳うちしてあげる本を

幼い頃、数理物理の方面に進みたかったこともあって、作用素論には今でも心惹かれます。ちなみ…

KK
12日前
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「行列」は数学・東海道本線の支線

高校数学から一時期姿を消してしまった「行列」。私はああいうのが割と好きでさっさと独習して…

KK
2週間前

書評『ゲーデル 不完全性定理』(岩波文庫)

ゲーデルですゲー出る。映画で話題のオッペンハイマーが「人間知性の限界を示した定理」と大間…

KK
2週間前
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天才数学者たちはコンピュータ誕生を予想しないまま予言していた

ゲーデルという名前は、多少でも数学啓蒙書を楽しんだことのある方なら目にしたことがあります。 そうであれば「不完全性定理」の名も、やはり目にしていると思います。 この定理の啓蒙書も、いくつか刊行されてきました。しかしこれがどういう時代の精神や、数学史的な文脈より生まれ生じたものなのか、数学者ダフィット・ヒルベルトの思想遍歴より探っていったのが、この本です。 ゲーデルによる論文の全訳と、その解説。解説編のほうが本体という、摩訶不思議な文庫本です。 この訳者解説を今、再読し

今からちょうど百年前、ウリゾーンのあれと、もうひとつ大きな発見が数学であった気がする。検索してみるとバナッハ=タルスキーの逆理の証明がこの年だとか。ほかにもあった気がする。思い出せない。

KK
1か月前
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背伸びはひとを育てる

とりわけ数学は、どうやって難問を解くか(または作るか)で能力が判定されるところがあって、…

KK
1か月前
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数学徒でないほとんどの方には「だからぁ?」な小ネタを紹介します。

 今年2024年はウリゾーン急逝よりちょうど100年。

位相空間から距離空間を導出できることを示した、あのウリゾーンです百年前の8月死去わずか 26歳。

KK
1か月前
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量子力学の本質は、複素数で回る数学的空間を、どうやって実数で回る物理的空間に落とし込むかということに尽きる。ここがわかれば学習者は道に迷う恐れをうんと軽減できるのに、どの教科書も専門書もそこをすぱっと語らない。語ったものはないのでしょうか。

KK
3か月前
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量子力学の入門書は、どうしてあの話には逃げ腰なのか?

量子力学をひとりで学びだした頃、戸惑ったことのひとつが、やたら「*」が出てくることでした…

KK
3か月前
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数学書シリーズ最終巻の最終章でようやく現れたる男、それは…

数学も物理学も、独学といっていい道のりで学んだ身ゆえに、カリキュラムに沿って学んだ方々と…

KK
4か月前
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物理数学史には謎が多すぎる

多少でも物理学を大学で齧った方なら「ルジャンドル変換」とか「ハミルトニアン」とかの名を目にしていると思います。 詳しいことを知りたい方はWikipedia をどうぞ。難解ですのでわからなくてもめげることはありません。物理学の基本中の基本だとわかってくださればいいです。 この二つ、前者はルジャンドルという18世紀のフランス数学者、後者は19世紀前半のスコットランド数学者にちなんで命名されたものです。 しかし、だからといってそれぞれルジャンドルとハミルトンが命名したわけでは