そういちの手帳

ヨーロッパのどこかで大学生をしています。 本、音楽、映画、アートを中心に日記感覚で書い…

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ヨーロッパのどこかで大学生をしています。 本、音楽、映画、アートを中心に日記感覚で書いて行きたい。 ブログ:https://soichi-uk.com/

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最近の記事

映画Perfect days を観て

僕は、僕のことを映画好きとは名乗れないと思う。何を隠そう、きちんと映画を見始めたのは大学に入ってからであるし、本数も300本くらいだと思う。(Mさん、映画の良さを教えてくれてありがとう) 映画の文脈理解をしっかりして千本くらい見たらやっと映画好きって公言してもいいかなと思っています。人生の中でまだまだ自分のものになっていない映画、絵画、文学が沢山あるということは幸せなことですね。 映画を観る時、パッと決めることができないし、見たい映画であればあるほど先送りにしてしまう。でも

    • Mid90sを観て

      たまたま暇潰しで見た映画に感動してしまうことってありますよね。 昔、いい感じになった女性の家でアバターを時間潰しに観始めたら、あまりの感動で相手そっちのけで映画に2時間半集中し、その後もずっとアバターの話をしてしまったことがありました。 そう、今回もルームメイトと一本映画を見た後、なんとなく時間があまり、適当にみたmid90sが本当に、心にヒットしてしまいました。 (1本目に見たのは中川龍太郎監督のわたしは光をにぎっているという映画でした。こちらも悪い映画ではなかったです。

      • アキ・カウリマスキ敗者三部作を観て

        やっぱり天候と気分はある程度相関性があって、寒いと落ち着いた映画観を見たくなるし、逆に夏、感動、爽快!みたいな映画はあとにとっておこうという気分になる。ロンドンの曇り空を見ていると、空は元々全部白い色をしていて青い部分なんてないんじゃないか、という気がしてくる。 というわけでクリスマス期間中に(この文章は12月に書いたのだ)たくさん映画を見て、気づいたらかの有名な敗者三部作を見終わっていた。最新作「枯葉」でもお馴染みのフィンランドの名監督、アキ・カウリマスキ。初めの一作品目

        • 太陽の季節(石原慎太郎)を読んで

          多分学生一つの特権は映画と本にたくさん触れられることだと思う。 あんまり短期的には役に立たないかもしれないが、本や映画でであった景色や一節がずっと心に残る、あるいはいつかのタイミングで思い出されることのために。 石原慎太郎「太陽の季節」を読んだ。 彼の本は実は一度も読んだことがなくて、積読になっていたのをkindleの中で発見して読んだ。僕が日本にいたときの彼のイメージは「元都知事の文化人」でありあまり小説家という印象がなかったけれど、ふとしたタイミングで彼の文章を読むきっ

        映画Perfect days を観て

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        • カルチャー
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          6本
        • 日記、思考のようなもの
          7本
        • 紀行文
          3本

        記事

          2024年、最後の冬 

          やっと長い冬休みが終わって新学期が始まった。 クリスマスが終わってから、新学期が始まるまで、冬休みの2週間は文字通り缶詰め状態で課題やら試験をこなしていた。おかげで体力はめっきり減ってしまったし、パソコンの見過ぎで目が悪くなってしまったように感じる。(その代わりにたくさん映画を見れたのだけど) やらなければいけない課題を先延ばしにして最後に一気に片付けることになる癖はそろそろ改善しないとな。 巡り巡って日本で就職することになったので、ロンドンの冬もこれで最後。振り返ってみれ

          2024年、最後の冬 

          映画「ガタカ」を観て

          今年初めて、とても良い映画に出会った。 終わってからしばらく、宇宙に漂うような、海に浮かぶような気分になった。 映画で描かれる近未来の世界では、生まれてすぐに遺伝子をスキャンされ、遺伝子の優劣によって仕事や階級さえも決まる。いわゆる優生思想の行き着く先である。 よって「普通の方法」として人工授精、遺伝子組み換えによって出産が行われるが、 主人公は母親の希望で自然分娩によってこの世に劣勢な遺伝子を持って生まれる。そのためもあって、彼は子供の頃から遺伝子エリートの職業である宇宙

          映画「ガタカ」を観て

          友人について考える

          どのような文章であっても、一番大切なことは手紙を書くつもりで文章を綴ることだ。この前読んだ「伝わるちから」という本の中で、暮らしの手帳の元編集長の松浦弥太郎さんが文章に関して、こんなことを書いていた。 3人の友人たち 友人について書こうと思う。 別に彼/彼女らがこのnoteを知っているわけではないので直接文章を通して伝えるわけではないけれど。じゃあ誰のために書くのかというと結局のところ自分のためだ。自己療養の手段として。文章も限られているので今浮かんだ3人の友達について書

          友人について考える

          最近の日記

          何かを継続するということはとても難しくて、日記にしろ、運動にしろ、資格勉強にしろ、だいたい数ヶ月-1年くらいで頻度がガクッと落ちてしまう。 特にブログなんかは、何か有益なものを発信しなければ、一貫性のあるものを書かなければ、と思うとどうしても書く手が重くなってしまう。習慣にできるといいのだけれど。だから、とりあえずnoteは、のんびり多くの目線を気にせず書くことにしようと思う。 とりあえず最近の現状報告。今年は大学が最後の一年(長かったようであっという間だったな)で、個人的

          トスカーナ紀行記 #1

          僕はイタリアがとても好きだ。 どうしてか昔から不思議に惹きつけられるところがある。 ということで2回目のイタリア旅行、今回はトスカーナを中心にフィレンツェ、ピサ、サン・ジミニャーノを巡った。少しずつ分けて書いていきたい。 ピサ行きの飛行機 1番安い格安便を取ったため、朝5時に起きて飛行機に。日本円にして3000円の格安航空。若さの特権。 ピサ行きの飛行機の中では陽気で博識なイギリス人老夫婦と隣通しになった。どうやら彼は三島を好んで読むらしく日本文化や社会の質問を延々にさ

          トスカーナ紀行記 #1

          アイスランド、雪原とサーモン

          僕のバケットリストには多くの人のそれと同じように「オーロラを見る」が上位にあった。 という安易な理由からアイスランドへ行ってきた。 初日、夜8時からオーロラを見るツアーに申し込んだ。バスガイドがアイスランド訛りの英語でオーロラについて説明してくれた。 「今日は天気が悪いのでオーロラが観れるかわかりません、ただチャンスがあるのでとりあえず行ってみましょう」 中都市(あえて中都市と言いたい)レイキャビクからバスで1時間ほど走ったところで、小さな灯台のある海岸に着いた。 霧を抜

          アイスランド、雪原とサーモン

          南イタリアの風に吹かれながら

          イタリア、アルベロベッロという街に行ってきた。両親がハネムーンで行ったという、人口わずか1万人程度の小さな街だ。 北イタリアから電車を乗り継いでいくと窓から見える景色が街から草原へと変わっていく。からっとした土の色と深い緑色の地平線。そこから昇ってこようとしている朝日が燃えるルビーのように美しい。 アルベロベッロの小さな村の静謐さを想いながら外を眺めているうちに電車がとまった。 街につくととんがり屋根の面白い形をした家が目に飛び混んでくる。トゥルッリと言われるこの街独自の

          南イタリアの風に吹かれながら

          ADHDの無料カウンセリングに行ってきた

          先週、学校で無料でやってくれるというので気まぐれで学業アドバイザーによるカウンセリングに行ってきた。 海外の大学、少なくともヨーロッパはこういうところの制度はしっかりしているのでいいなと思う。(もしかしたら日本にもあるかもしれないが) 予約はものすごく簡単で、オンラインでフォームを入力するだけ。どうやら認知学者でもあるカウンセラーが見てくれるらしい。 指定された彼のオフィスに行き、1時間ほど学業の効率的な進め方について、色々アドバイスをしてもらった。 穏やかな口調で、ホワ

          ADHDの無料カウンセリングに行ってきた

          ウェールズ旅、2023年の抱負

          全てを継続するということは難しくて、めっきりnoteの更新も途絶えていた。 2022年最後は友人2人とウェールズに行ってきた。 冬休みは思ったよりも短く、課題とテスト勉強や部活もあり、驚くほど早くすぎていったので3日間のショートトリップ。(というより最近は全てのことが早く過ぎるように感じる) ロンドン、パディントン駅からHITACHI製の列車に乗り込む。時々最近のことを話し、本を読みながら列車に揺られる。 外を見るとイギリスらしい曇り空が空一面に広がっていた。 カーディ

          ウェールズ旅、2023年の抱負

          Look for the silver lining

          多忙と不運が続いている。 先週は暖房をつけ忘れ、薄着で寝たせいでお腹を壊し、就活のwebテストでは途中で間違えてページを閉じてしまった。勉強は比較的まだ余裕があるもののインド哲学と基礎PPEの授業には多少遅れが出ている。それに部活ではこの前の練習中、ボートが水の中にあった鉄のゴミに引っかかり破損したせいで色々と大変なことになっている。 まとめると全体的に多忙で心に余裕がなくなりかけている。やれやれ。 それでもやらなければいけないことは決まっているし、落胆せずに問題点を洗い出

          Look for the silver lining

          朝のひととき、優雅さはなく

          朝 練習のため朝5時に起きた。 シャワーを浴びて目を覚ます。絶妙にぬるいが冷たいより、熱すぎるよりいいのかもしれない。髭を剃って、シリアルを食べて、バッグにボート用のサンダルと帰り道のお弁当と水を入れる。 10分ほどゆっくり。 練習場はロンドンからやや遠いTSSという場所にあり、Waterloo stationまで出てからChiswick stationまで行く必要がある。電車で言うと50分ほどで、もし自転車を使うとなればwaterloo station まで30min

          朝のひととき、優雅さはなく

          [三体/劉慈欣を読んで] 宇宙より広い生命、愛そして縁起について

          三体を読んだ。久しぶりに深い思考のきっかけになる物語に触れた気がする。 三体は世界で2900万部の発行部数を誇る人気爆発中の中国SF小説である。尊敬する知人が勧めていたので手に取った。 文化大革命によって科学者が殺されるシーンから始まり、なんと数千年のスパンで物語は展開していく。 その中で宗教の対立、政治、人間愛、尊厳や物理学など様々なテーマを軸に物語は進む。 よって全体も長く、三体I, II, IIIとそれぞれII と IIIは上下巻で構成されているため計5巻の超大作と

          [三体/劉慈欣を読んで] 宇宙より広い生命、愛そして縁起について