年の始めに巫女バイトをした話
昔から興味はあったけど、年またぎのお仕事をいただくことが多くなかなかできなかった巫女バイト。
今年は時間に余裕があったので、よくお参りする神社の募集要項を確認してみました。
すると年齢制限がない。これ、30代でもいけるのかな?
…と、面接に行くとサクッと受かりました。
神社によって違うそうですが、私が助勤したところではベテラン巫女さんもたくさんいらっしゃるそうです。
スケジュールはだいたいこんなかんじ👇
巫女装束の着付け
インナー(防寒着)
社務所(お守りとかを並べているカウンターみたいなとこの奥)は基本的に窓全開。
ネットで検索すると「とにかく寒いよ!」てかんじだったのでめいいっぱい着込んだのですが、ヒーターやストーブが近くて、覚悟してたより寒くはなかったです。
でもその日のお天気と担当する場所によってかなり差がある(雪の降った年は極寒だったそう)ので、カイロをどれだけ貼るかは当日に着替えながら決めた方が良さそう。
足袋と帯紐は私物を持参。これも神社によって違うらしい。
まだ成人式前でこれから足袋を買うよ〜という人は、冬用のあったかい足袋を選ぶのもいいかもしれません。大きめの足袋に白の5本指ソックスとかでもたぶん良し。私は自前のが小さかったので薄手のインナーを買ってみました。効果は…意外と現場が暖かかったのでちょっとよくわからない。
でも足用カイロは、着け初めは火傷するかってくらい熱かったのにすぐ効果を感じなくなったので、あんまりよくなかったなぁ…メーカーによるのか?
襦袢(じゅばん)と白衣(しらぎぬ)、緋袴(ひばかま)
こちらの動画で予習して行くと、思ったより手間取らずに着れました
👇(昨今はなんでもあって助かるな…)
着付けだけなら30分もあれば十分なんですが…
小柄な私に合う巫女服がほとんどなく、Sサイズを探して着ては脱ぎ着ては脱ぎ…で、1時間前に出勤しても間に合わないなんてこともありました。
どうしても見つからない時は大きい白衣の裾をたくし上げ、帯紐で無理やり固定して着たり。でも袴が大きいのは物理的にどうしようもない…
もう少しSサイズを増やすか、せめておおざっぱにでもサイズ順に並べておくシステムを作ってくれ〜
(管理職が男性ばかりだとこういうの改善されにくいのかな、知らんけど。大きい神社ではまた違うかもしれない)
制服ありのバイトだと標準体型でない人は大変ですね…
そう、記事タイトルではわかりやすく「バイト」としましたが
正しくは「助勤」「助務」というそうです。
商売ではなくあくまで「神様へのご奉仕」であるとのこと。
参拝客の方にも「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」ではなく
「ようお参りです」「ようお参りでした」。
お守りなどの品も商品でなく「授与品」、売るのでなく「授ける」。
お金を渡されたら「○円のお納めです」。
(細かい表現には地域差があると思うけど)
「例年なら12月から慣らしていくんだけど、今年はぶっつけ本番です。頑張ってね!」
と言われたのですが。まさかほんとに着付け以外はほとんど何もわからないまま元旦の現場に放り込まれるとは思わなかった。
(研修には禰宜さん(男性)もいたのでセーターやジーンズの上から巫女装束を着ており、初めてちゃんと着付けるのすら助勤初日)
一応、授与するお守りの一覧やよくある質問をまとめたプリントはいただいたけど…神社のお会計は基本的に暗算か電卓なんですよ。レジはあったけど、お釣りの自動計算はできないやつぅ…
実際どんなお仕事をするのかは当日初めて知らされるし。
まぁ初めての人には比較的簡単なお仕事を割り振ってる印象ではありましたが(常に経験者の方がついててくれるしね)。
一番気楽だったのはおみくじ。
大変なことは多かったけど先輩バイトさん、禰宜さんがみなさんお優しかったので慣れれば楽しいお仕事だろうな〜と思います。
年末年始だけの巫女さんが接するのは、主に先輩巫女さん(常勤なのかな?事務員っぽい巫女さんがいらした)、禰宜さん。それに授与品の補充などをしてくださる裏方バイトさんがいらっしゃいました。
事前に「浅葱色(水色)の袴が禰宜さんで、紫色の袴が宮司さん。宮司さんが会社で言う社長(最高責任者)だと思えばいいよ」と教えられました。
が、紫色の袴の方も複数人いらして…
特に自己紹介とかはされなかったので、結局どなたが最高位の宮司さんだったのかはっきりとはわかりませんでした。
(「たぶんあの方かな〜」くらい…)
👆袴の地の色だけでなく、紋の色でも位が違うらしい…
こういう事前知識があればわかったのかなぁ。
十日戎(とおかえびす)の福娘
「福娘」とはえべっさんが授ける「福」を人々にお渡しする仲人のような存在だそうで。えべっさんと同じく烏帽子を被っています。
私は熱心にお参りする家庭の子ではなかったので、この「十日戎」については無知。当日朝に「え!何!?何するの??」とプチパニックでした。
千早の紐の結び方もあるのですが、こちらは予習する余裕もなく、先輩巫女さんにやっていただきました。…がめっちゃほどける。
結局ちょうちょ結びでどうにかしました。
お客さんがひっきりなしに来ると、気にする余裕もないんですよね…
お守り、お札、木札、ストラップ、絵馬、土鈴、神矢…やら何やらで軽く100種くらいあるけど、十日戎の時期にはさらに福笹や熊手といったえべっさん関連の品が増えます。
あと「領収書ください」と言われる率も上がる(但書は「授与品代として」)。
三ヶ日のほうが参拝客が多いけど巫女さんも多く配置されてるので一人が担当する範囲は狭い。しかしこちらは幅広くカバーしなければいけません。
なので精神的にはこっちのほうがしんどかったな…
でも福引をガラガラ回されるのとかは楽しかったです。
有名神社の福娘は倍率も内容もなんかすごい…
動画もいろいろあったから見てみたけど、THE・美少女コンテストってかんじで…ごめんなさいちょっと引いてしまった…
👆たぶんそうだろうなとは思ってたけどヒェ…となる…
「アイドル」って本来は宗教用語なんだよなァ…と実感。
私が助勤した神社は比較的まったりのんびりでしたが、「元旦より十日戎の方が参拝客が多い」有名神社は巫女さんの仕事もまじで戦場ぽくて勝手に震えてしまう…そのぶんお給料も高いらしいけど。
福男レース
えべっさんの総本社・西宮神社(兵庫県西宮市)では、早朝に「福男選び」のレースがあります。毎年ニュースで見るので、福娘は知らなかったけどこちらは知ってました。
今年は3年ぶりの開催だそうで。
短期でも巫女さんをやってみると、いろんなニュースが目に留まるようになりました。私が知らなかっただけでいろいろあるんだなぁ。
👇こんなページも見つけました。
👆男性の直垂や狩衣を着ることもできるらしい。
神職とはまた違う十二単体験とかもやってみたいんだよなー
コロナ禍なのでみんなマスクをしていたり、
手水舎で柄杓が使えなかったり、
神社が開く時間がいつもより短かったり…
など、平時とはいろいろ違うこともありました。
参拝客が少ないのは、初めて助勤する身としてはちょっとホッとするところでもあるんですが、神社側からしたら哀しいですよね。
ちなみに…
たとえば病気平癒のお守りは、「病気の人の回復を"祈る"お守り」。
「病気を直してくれるマジックアイテム」ではないんですよね(それやったら「幸福になれる壺」と同じ悪徳商法だからね)。
個人的には、神社などで与えられるお守りの類は「それを日常的に見たり身につけたりすることで、自分の望みを再確認し、実現のために気を引き締める」ためのものであると解釈しています。
アマビエの絵も、それを目につく所へ貼り日常的に見ることで「疫病に備える」姿勢を身につける効果があるのではという説も見かけました。
私はこういう仕組みを考える癖がついているので心から「祈る」という行為がちょっと難しいタチなのですが、祈るという行為それ自体に救われている人はたくさんいるのだなぁと実感します。
本当に、世界が平和でありますように。
サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!