表紙イラスト『incu・be vol.44』-メイキング
若手研究者のための研究キャリア発見マガジン
『incu・be vol.44』(2019年春号)
刊:リバネス出版
発行日:2019/03/01
デザイン: KIYO DESIGN
前号に引き続き、表紙イラストを担当させていただきました。
1:イメージのすり合わせ
今回のオーダーはこんなかんじ↓
さらに具体的なオーダーと、先方さんのイメージ図がこちら↓
これらを踏まえ、ラフに入る前に疑問点を確認↓
イメージ図があるとそれに引きずられて思考が狭まる場合もありますが、
「こういう点を重視しているんだろうな、ならああいうアプローチをしてみようかな」という思考展開もできるので助かります。
2:ラフスケッチ
螺旋を描いて上昇する帯の中心にメインとなる人物を据え、周りにそれぞれの時期を表現した人物を配置。
左:研究対象のモチーフとして、ロケット(スペースシャトル)を選択
上昇志向というか、「理想に向かって己を高めていく」イメージが視覚的にわかりやすいかな…と思ったのですが
「スペースシャトルはすでに退役している過去技術なのでNGかなと」
というデザイナーさんのツッコミから、
右:「空飛ぶロボット」に変更
こういうところで日頃の不勉強が露呈しますね…
3:フィードバック
4:修正ラフ
フィードバックでは手前の子供が持っているものをロボに変更…とありましたが、いろんな分野のインタビューを取り上げるからか、そもそも具体的なモノを描くのはあまりよくなさそう。
デザイナーさんとメールでやりとりをしているうちに
「最初にいただいたイメージ図のように、人物のみで構成したものを作ってみよう」と思いました。
迷いながら描いてるとロボデザインなどで何度も修正を重ねて時間を食いそうな気がしたので、先にこれを提出してみて、それから急いでロボverも作ろう…と考えていましたが
これを提出した時点でデザイナーさんが
「ロボット無くてもいい気がします。クライアントチェック回しますね」と仰ったのでそのまま進行。
そしてこのラフからメインの星の放射線を消して本制作ということで落ち着きました。
一応、背景に理系っぽい記号をちりばめたverも作ってありましたがこちらはちょっとごちゃごちゃしすぎたみたいですね。
迷いが見て取れる…
5:完成
細かいところをブラッシュアップして完成。
中央の人物以外は主線を消して、ほんのり差別化をしています。
今回はテクスチャを入れたりもせず、スッキリ爽やかにまとめたかんじ。
(印刷物になると微妙なテクスチャは綺麗に反映されないし、ミントグリーン系は濁らせないほうがいいだろうなと思ったので)
いろんな表情が描けて楽しかったです。
迷ったり悩んだりしながら坂道を登って行くのは、どの分野でも同じですね。
今回は勝手に余計なものを描きすぎて迷走してしまった感があります…
あらためて振り返ると、やっぱりスッキリシンプルなほうが見やすいし使いやすいですね。
少し前にTVで「小さい頃に見たロボットアニメの影響でロボット研究者になり、巨大ロボットを作っている人」のドキュメンタリーを見て、それがとても印象的だったのでロボットやロケットといったモチーフが描きたくなったのでした。しかし知識不足は否めない…
このお仕事をきっかけに、ちょっとずつ、今まで触れていなかった分野も覗いてみるようにしています。
また、前号もそうでしたが、incu・beで求められる人物は基本的に「中性的」なんだな〜(性別による固定観念を生まないように)、
中性的、男性的、女性的ってなんだろうなぁ。と考えます。
こういうとき自分の頭に反射的に思い浮かぶ「中性的な人物像」は「短髪にズボン」で、「男性装の女性」が基本になってるんだなぁと気付いたり。
今回はシャツ+ズボン+体型の隠れる白衣(周囲の人物もはっきりとは体型がわからないポージングにしています)+長めの短髪という表現。
パッと見のわかりやすさとか、伝えたいものの優先順位でこうなったかんじです。次はどんなアプローチをしようかな。
incu・beは1年間で4回の契約なので、次号でひとくぎりとなります。
どうぞよろしくお願いいたします。
サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!