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倫理観のバグ

元カレと付き合ってた時の話です。
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   「あんたやっぱクズだよね」

 親友から何度言われただろう。他人事のように笑って言われる言葉。傷つきはしないが、やはり人とズレていると実感させられる言葉。咎めることなく面白がる彼女でなければ、きっと素直に話すことはない。

 わたしの倫理観はズレているらしい。これでズレてないと言われても困るぐらいには自覚しているが、なかなか変わるものでもない。
 男女関係なくパーソナルスペース皆無のわたしは相手が嫌がらなければボディータッチするし、されることに抵抗もない。浮気だって、正直バレなきゃいいと思ってるし、女子でも関係なく性的な関係になれる。実際には、そんなことしないけど、心のなかではそう思ってる。性行為だってただのアソビ。気持ちよければそれでいいでしょくらいに思ってる。
 大学生にもなれば遊び歩くビッチになってもおかしくないような倫理観のズレ。
 それでも道をそれずにいたのは彼氏の存在があったから。よくないことなんだろうと感じてたから。

 しかし、道をそれるのは想像以上に呆気なくて簡単だった。声をかけてきた男子についていくだけ。否定の言葉を口にしないだけでで向こうが良いように考えて物事は進んでいく。
 なんだ。あんなに身構えてたのに、こんなに簡単なのか。楽しくて何も考えなくていい。抱かれるってこんなものか。
 今まで守ってきた処女がすごく軽く感じた瞬間だった。1回してしまえばあとは何回やっても同じ。加速するアソビ。相手も増えていく。終いには女の子も抱いていた。
 自分の体に価値が見出せなくなったわたしは無だった。何もない。彼氏にバレてもいいとさえ思った。
「あなたとの行為は拒んだわたしだけど、他の男に股を開いたの」
そう言って笑いたい衝動に駆られていた。

 今になって分かる。あれは一種の自傷行為であったと。自覚しない傷を沢山身に刻んでいたのだと。

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