相手がどんな性格かを知るためには?【アドラー心理学におけるライフスタイル形成について】
人の悩みのほとんどは人間関係って言います。
そうなると、相手の性格の傾向を把握することって、解決策の一端を担うとも言えるはずです。
とは言ってもその“性格”も様々ですから全てを把握することは難しいかもしれません。
今回はアドラー心理学におけるライフスタイルの形成について解説します。
アドラー心理学における“ライフスタイル”とは?
アドラー心理学においての“ライフスタイル”とは、“その人の思考や行動の傾向”のことを指します。
言うなれば“性格”ということですね。
またアドラーによると、個々人の“性格”の違いは自分で変えられるというところに特徴があるとも言われています。
自分のライフスタイルを知る
どうしても今の自分のライフスタイル(性格)があまり好きではない…できるなら変えたいと思うことは誰でもあるかと思います。
ライフスタイルを変えるためには今の自分のライフスタイルを知ることから始まります。
よく聞かれるものとしては以下の通り。
人に嫌われるのが怖い
みんなで騒ぐことが好き
マイペースである
ものごとに対して慎重
好奇心旺盛だが飽きっぽい
規則に縛られるのが苦痛
ときどき自分の無力さを感じてむなしくなる
自分が話題の中心になっていることが好き
自分は弱い人間だと思っている
友達をつくるのが得意なほうだ
人に対して支配的でときどき攻撃的になる
内心は自分は人より能力があると思っている
思っていることが表情に出やすい
人の顔色をうかがって行動している
人からの評価をとても気にする
面倒や責任を伴うことは避けたいと思う
優柔不断で自分で決断すえうころが苦手
何かあると悪い方に考えて不安になる
スケジュールが決まっていないと落ち着かない
金銭や評価など、何事も損得勘定が判断の基準である
失敗などをするとひきずっていつまでも落ち込む
責任感が強く、完璧でないと気が進まない
他人のすることが期待通りでないと、腹が立つ
人から頼まれたり誘いを受けたりすると断れない
約束の時間やルールをしっかり守るほうだ
競争心が強く、いつも心に秘めたライバルがいる
どんなことでも人と争うことは避けたい
感情を表に出さないのでクールに見られがち
理想が高く他人に任せることが苦手
人から注目されることに快感を感じる
何かがあっても誰かが助けてくれると思っている
あまりベタベタした人付き合いをしない
何事も白黒をはっきりさせておきたい
良い結果、良い成績で一番を目指そうとする
「自分は自分」という意識が常にある
上昇志向が強くいつも目標を持っている
…概ね、こんな項目があげられます。
ライフスタイルはどうやってつくられる?
その人のライフスタイルというものは、実は4~5歳で一度つくられる傾向が高いと言われています。
その後様々な経験を積み重ねていくなかで、その人独自のライフスタイルとして確立していくことがほとんどです。
つまりその人を取り巻く環境の影響が大きいことになります。
ライフスタイルをつくるのはその本人
しかしアドラーによると、ライフスタイルをつくるのは周囲の環境ではなく、あくまでもその人本人であると主張しています。
これは何かの出来事が起こった場合、それをどう捉え、自分自身でどのような意味づけをして判断していくかはその人自身ということです。
これを“自己決定性”と呼びます。
例で言えば、幼少の頃両親が離婚をしたとしてもすべての人がそれがきっかけで不良になる…わけではありません。
その出来事をどのように自分で解釈し落とし込むか?によって、その後のライフスタイル形成の方向が変わってくると言えます。
ライフスタイルの形成
そのライフスタイルの形成についてですが、基本的な特徴をつかんでおくと理解しやすい場合があります。
その特徴は大きく…
身体的特徴
環境的特徴
…によって区別されます。
以下に解説します。
身体的特徴
アドラー心理学におけるライフスタイルの形成において、身体的特徴は個人の自己認識や自己表現に大きな影響を与えます。
これには、生まれながらの身体的特質や健康状態、外見などが含まれます。
身体的特徴は、自己イメージの形成に寄与し、自己受容や自己評価に影響を及ぼします。
例えば、身体的障害や特異な外見は、自己認識や他者との関係において特別な課題を提供することがあります。
身体的特徴によって形成されるライフスタイルは、個人が自己の身体をどのように受け入れ、それに対してどのように対処するかに基づいています。
環境的特徴
環境的特徴は、個人が育った家庭環境、社会文化的背景、教育、経済状況など外部環境による影響を指します。
これらの環境要因は、個人の価値観、信念、行動様式の形成に大きく寄与します。
例えば、育った社会文化的環境は、その人の世界観や人間関係の築き方に影響を及ぼすことがあります。
また、家庭環境や教育の質は、自己効力感や野心の発展に影響を与えることがあります。
環境的特徴によって形成されるライフスタイルは、個人がその環境内でどのように自己を位置づけ、どのように対応するかに基づいています。
生まれ順による家族環境の影響
少し違う視点でも見てみます。
アドラーによると、環境的特徴によるライフスタイル形成への影響は、生まれ順、性別の分布といった家族の配置(家族布置)が重大な意味を持つとされています。
つまり…
第1子
第2子
中間子
末子
単独子
…によって変わってくるということになります。
以下にそれぞれ解説します。
第1子
第1子は、しばしば責任感が強く、成績や行動において模範を示すことが期待されます。
これらの期待は、リーダーシップ能力や自立心を育む一方で、過度の責任感や完璧主義に繋がることもあります。
第1子は、親からの注意を独占していた時期があるため、新しい兄弟が生まれると競争心や嫉妬を感じることがあります。
第2子
第2子は、第1子に比べてより自由奔放である傾向があります。
第1子との比較により競争心を持ちやすく、異なる方法で注目を集めようとします。
第2子は、しばしば社交的で創造的な傾向があり、新しいことに挑戦するのを楽しむことがあります。
また、柔軟性があり、変化に適応する能力を持つことが多いです。
中間子
中間子は、家族内で独自の役割を見つける必要があるため、調停者や仲介者の役割を担うことが多いです。
彼らは、しばしば独立心が強く、友人関係に重点を置く傾向があります。
中間子は、兄弟の間で自己の地位を確立するために、ユニークな才能や興味を発展させることがあります。
末子
末子は、しばしば家族内で甘やかされる傾向があり、その結果、自由奔放でリスクを取ることを恐れない性格を持つことがあります。
末子は、注意を引くためにユーモアや芸術的才能を発展させることが多いです。
また、彼らは、自立心が強い反面、責任から逃れる傾向があることもあります。
単独子
単独子は、親の注意を独占し、その結果、成熟し、自立心が強い傾向があります。
単独子は、しばしば大人との交流が多いため、言語能力や知的好奇心が発達することがあります。
しかし、単独子は、競争や協力を学ぶ機会が少ないため、社会的スキルの発達に課題を持つこともあります。
ライフスタイルは変えられる
4~5歳でライフスタイルは一度つくられますが、その後は自己決定によって左右されるので、言い換えれば自分自身で変えられることになります。
同じ家族位置で、似たような家族環境であっても全ての人のライフスタイルが同じになるとは限りません。
その理由としては、何か物事が起きたときどうすべきかを考え、行動を選択してきたのは他ならぬ自分自身だから…ということです。
過去の記憶も変えられる
アドラーは「意味は状況によって決定されるのではなく、われわれが状況に意味を与えて決定する」…と述べています。
何度も言うように、起きた物事をどうとらえるかはその人の“自己決定”次第ということです。
「過去の経験から、自分の目的にあったものを見つけ出せばよい」…と「目的論」を軸にしている点も、『アドラー心理学にはトラウマという考え方がない』と言われている所以でしょうね!
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