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早寝早起きが良い理由

睡眠の役割とは?

「睡眠の役割」と聞くとパッと思い浮かぶのは「疲れを取る」とか「身体を休める」などではないでしょうか。
しかし、睡眠には「身体を休める」以外にもとっても大切な役割がたくさんあるんです。

睡眠については、これまでも様々な研究がされてきました。
ヒトの場合、睡眠と食べることには深い結びつきがあると考えられていて、例えば日が落ちて食物を得ることが難しい時間に、睡眠を取るようになったと。これは暗くて活動しにくい時間には、エネルギーをあまり使わずに蓄えておこうという「体力温存モード」に切り替えるため。
つまり「睡眠」とは、生物が生きていくうえで身につけたエネルギー保存状態。そしてこの状態のときに身体や脳のメンテナンスも行われる、とても合理的な時間なのです。

仮に、3時間おきに昼と夜が訪れる環境であれば、ヒトも3時間おきに寝て起きるようになっていたのかもしれません。
実際に現代は24時間社会と言われ、昼夜を問わず様々なサービスが存在します。そして、インターネットの普及により日本の夜は世界の夜ではなくなり、睡眠時間も短縮傾向にあります。

日本人の睡眠時間は世界最低水準!?

世界の平均睡眠時間を比較すると・・・
2018年の経済協力開発機構(OECD)の国際比較調査によると、日本の平均睡眠時間は442分(7時間22分)と調査国の中でワースト1位。ちなみに、アメリカは528分、イギリス508分、フランス513分、スペイン516分。欧米先進国とは1時間以上の差があります。
とある記事によると、睡眠不足による日本の経済損失は15兆円だとか。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2017年)によれば、1日の平均睡眠時間(過去1カ月間の平均)は、40代男女の半数前後が「6時間未満」と回答しています。睡眠不足の原因は様々ですが、通勤時間や労働時間の長さもその理由の一つでしょう。
生産性を労働時間で補うという考え方は果たして正しいのか。
個人のポテンシャルを十分に引き出すには、しっかりとした睡眠が必要で、こういった側面からも働き方改革は必要なのでは、と思います。
尚、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上眠る人に比べ死亡リスクが10%以上高いというデータもあります。

早寝早起きが良い理由

本来、ヒトは太陽が昇ると起き、昼に活動し、太陽が沈むと寝る「昼行性」の生き物であり、一般的にはこの太陽とリンクした「早寝早起き」がもっとも自然な生活サイクルです。
人が夜寝る時、横になって丸まったりするのも、無防備な睡眠中に身を守るための姿勢だとか。そして夜の睡眠の間には、身体や脳の休息やメンテナンス、さらには、免疫機能アップやストレスの解消なども行われていることが明らかになっており、この大事な「夜まとまった睡眠をとる」という行動は、ヒトからヒトへ、遺伝子レベルで連綿と受け継がれているのです。

睡眠不足による影響

では、これが損なわれるとどういうことが起きるのか。

免疫機能の低下
免疫機能が弱まると健康全般に悪影響を及ぼします。
例えばかぜなど、感染症にかかりやすくなる、アレルゲンに対する抗体反応が正常でなくなるなど。

回復機能への影響
成長ホルモンの分泌が十分でなくなり、疲れがなかなか取れない、肌荒れなどのトラブル、子どもの場合は成長に悪影響が生じる可能性があります。

生活習慣病のリスク
睡眠不足は交感神経にも影響を及ぼし、血圧や脳血管に関する症状の原因にもなります。
また、スタンフォード大学の調査(Tageri 2004)によると、睡眠不足は代謝や食欲に影響し、肥満に繋がることも明らかになっています。

大脳への影響
睡眠が不足すると大脳の機能が低下するとも言われています。
論理的な思考ができなくなったり、意欲ややる気が失われてしまうことも。
そして、注意力の低下から単純なミスを起こす「ヒューマンエラー」の可能性も高くなります。
過去に起きたチェルノブイリやスペースシャトルの事故、高速バスの事故など、疲労と睡眠不足によるヒューマンエラーが原因と言われています。
そして、睡眠不足は子どもの大脳の発達においても問題視されています。

寝る間は惜しむべきではない

日本もバブルのころ、「24時間戦えますか?」というCMがヒットしました。

私も「昨日は徹夜しちゃったよー」なんて得意顔で友達と話していたこともあります。試験前日には一夜漬けで朝まで起き続け、忘れないうちに試験を受けるという無謀な作戦も実行していました。
「寝る時間を惜しむ」という表現もありますが、なんとなく「睡眠=削っても良い時間」という印象を持っている人も多いような気がします。

が、当然睡眠は無駄な時間ではありません。それどころか、超重要な時間です。寝ている間には体力の回復だけではなく、成長ホルモンが分泌され、記憶も整理され定着するんです。

もし私が学生時代に戻れるとしたら、一夜漬けはせず、試験前はしっかり寝てベストコンディションで試験に臨みます。きっと成績があがることでしょう。そして華やかな学生生活。体型もスリムでモテモテ。
タイムリープできるなら是非試してみたい。

寝る子は育つ

「寝る子は育つ」という言葉は、科学的根拠のある言葉で、特に子どもたちにとって、睡眠は何よりも大事です。
理想とされる睡眠時間は年齢によって異なります。
睡眠不足はもちろん、実は寝すぎも宜しくないということが明らかになっています。
果たして子どもは何時間寝るのが良いのか。
次回は睡眠と成長について少し書いてみたいと思います。

睡眠環境・寝具指導士 認定第190104号

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