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シアター・ホームステイinアトリエ銘苅べ―ス①

全国小劇場ネットワークの「シアター・ホームステイ」という事業で、横浜・若葉町ウォーフの佐藤信さんから紹介して頂き、沖縄、那覇市のアトリエ銘苅ベースへ1週間滞在させて頂くことになりました。

(念のため)松本一歩です。俳優、劇団主宰(平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.)として主に東京で活動しています。若葉町ウォーフで清水宏さんの『戯曲の真相』という作品を、制作としてお手伝いさせていただいていたご縁から巡りめぐって、今回の滞在の機会に恵まれました。うまれてはじめての沖縄です。

羽田空港にて。
上から眺める富士山。

羽田空港から那覇市まで3時間弱のフライト。向かい風で若干到着が遅れたとのことでしたが、機内で行われたじゃんけん大会や、サービスで振舞われたシークワーサージュースなどでかなり盛り上がった状態で降り立った那覇空港は、自宅を出る時に「すこし肌寒いかな」と思って着てきたロンTを呪うくらいにはあったかく、4月とは思えない気温と湿度でした(あっちぃ)。

那覇空港へ降り立つ筆者。

空港から車で30分ほどのアトリエ銘苅ベースへ到着すると、制作の新垣七奈さん、当山彰一さんが出迎えてくださり、このあとすぐに『9人の迷える沖縄人(うちなーんちゅ)』の稽古が始まるとのことでバタバタと部屋に荷物を運んだりルートビアを飲んで一息ついたりして、その後の通し稽古を拝見することが出来ました。

ルートビア!「ゴクゴク飲めるサロンパス」

今年本土復帰50周年を迎える沖縄にあって、沖縄の人が日本との関係を、あるいは米軍基地問題をどう考えているのか。沖縄の人たちのなかでも様々なグラデーションがあり、一朝一夕に答えが出るような問題ではないんだと考えさせられるのと同時に、個人的には今年の2月にあった沖縄警察署破壊事件や、あるいは李琴峰さんの『彼岸花が咲く島』を思い出したりしながら拝見していました。

個性豊かな俳優さんたちの楽しそうな笑い声を聞くにつけ、演劇に携わる人間として稽古場の雰囲気がとても好きなこともあって、稽古を拝見している間に移動の疲れも吹き飛んで、かえって頭がクリアになる感じがして一気に元気になりました。

当山さんが表紙の「オキナワグラフ」、『9人の迷える沖縄人』フライヤー、『沖縄・復帰50年現代演劇集』フライヤー

「たぶん、言葉が分からなくなるだろうから」と、当山さんから渡して頂いた上演台本に助けられながら通し稽古を拝見していたのでしたが、劇中で話される沖縄方言がほんとうに全然わからなくてびっくりしました(!)。

作品で「本土の人間」という登場人物が出てくることもあり、沖縄へ来てみるとあらためて自分は東京、中央にいる人間なんだなということを感じながら通し稽古を見ていました。

沖縄の様々な問題を沖縄だけの問題とするのではなくて、本土の人たちも本土の人たちなりに行動し、時にたたかい、ともに歩みを進めながら「日本人の敵は日本人」なんてことにならないよう、真によき隣人となれるかどうかが問われているんだな、みたいなことを考えたりしていました。

そのあと当山さん、そして『9人の迷える沖縄人』の作者でもある安和学治さんと、今回の滞在について打ち合わせをし(さまざまな場所への訪問をアレンジしてくださっています。m(__)m)、沖縄の情報をいろいろ教えてもらいつつ(「栄町市場で迷子になってみるといいよ…」)、一日目の夜は更けていくのでした。

右から安和学治さん、当山彰一さん。左が筆者。
銘苅ベースの本棚スペース。テアトロのバックナンバー、ままごと『ファンファーレ』のバッグもありました。


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