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『カウンセラー×ライター』の可能性

最近の自分のもう一つの顔『ライター』

伊豆半島の魅力的なヒト、モノ、コトを伝える「IZU LIFE JOURNAL」では「ライター」の一人として紹介いただいてます。

まあ、自分から「ライターです」とは、恥ずかしくて名乗れませんが(笑

ライターとして末席に連ねていますが、実は「書く」ことよりも「インタビュー」好き。毎回、緊張しますが、自分の知らない世界が聞ける、と思うワクワクします。

好きだといいながらも、インタビューの場は毎回、試行錯誤。
あれこれ悩みながら取材を続けています。

ライターの上阪徹さんの本では、ライターには「書く人」の意があっても「素材が7割、書くのが3割」。素材を集める取材力が大事という。

もちろん、目的は違いますが「相手の話を聞く」という点では、ライターのインタビューもカウンセリングも同じ。

今回は、カウンセリングのマインドやスキルがインタビューに役立ちそうなところを挙げてみました。


1.「いま、ここ」の話題に集中

相手の話を関心をもって聞く。
あたり前のことなんですが、これがけっこう難しい。

インタビュー中に、相手の話を聞いているようで、頭の中で違うことを考えていることも多い。

「聞きたいことが聞けないなあ。話題を変えようかな」
「話題が続かない。どうしよう。機嫌が悪いのかな」 

などなど、聞いているようで、実は聞けていない。結局、うわべでしか聞けないと、深まる質問もできずに終わってしまう。

古賀史健さんの「取材・執筆・推敲」の本で、取材のコミュニケーションは「ピッチャーの投げる球をひたすら受け止めるキャッチャー」と言っていますが、この例えに納得です。

相手が今、投げてくれている『球』をしっかり受け止める。

「次に何を言うか」を考えている人は、相手の話をほとんど聞いていない。自分のことであたまがいっぱいで、早くおれに投げさせろ、とさえ思っている。キャッチボールでありながら、実際には相手のボール(ことば)を受け取っていないのだ。
だから僕は取材を、キャッチボールの図式で考えない。
ひとりのキャッチャーとして、どっしりミットを構える。ピッチャーの投げる球を、ひたすら受け止める。もちろんボールは投げ返すが、自分がピッチャーにまわることはしない。
出典:「取材・執筆・推敲」 古賀史健

カウンセリングでは、相手が今、ここで話していることに焦点をあてて聴く。それが当初の主訴(相談の目的)とズレていても、まずは受け止める。

聞く側がどう思っても、相手には話したい思いがあったりするもの。

インタビューでは、すべてを相手のペースでは聞けませんが、まずは目の前の話題をしっかりと聞くほうが、結果的に深く話を聞けることが多い気がします。

2.質問はパワフル

インタビューが深まらない原因は、聞き手の質問にあることが多い。
(毎回、反省。。)

良い質問ができれば、聞きたいことをスムーズに話してもらえるし、ときに相手がこれまで話してこなかった想いや意見を聞くこともできます。

逆に質問の質が悪いと、場の空気がこわれ、相手が身構えたり、一問一答のような面接のようになってしまう。

やはり、質問の破壊力はすごい。

カウンセリングでは「質問」は相手の注意を方向づける積極的な介入と言われる。質問するときは、意図はもちろん、問いかけられた相手への反応も意識しながら問いかけます。

この質問をすると「相手がどんな感情をもつか」「相手の自己探求につながるか」とか。それがインタビューであっても、質問の内容や聞き方には気を使います。

特に相手の価値観に触れる質問など、深いところを聞くときには、相手の「話してもいい」と思う心理的な境界線を越える必要がある。インタビューの限られた時間であっても、深い質問ができるような信頼関係を早めに築けるといいんでしょうね。

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3.気持ちに応答する

インタビューでは、相手がどんな気持ちで話しているか、をあまり意識しないことも多い。

とはいえ、ビジネスの場面でも、自分の気持ちをわかってくれるとうれしいもの。それはインタビューの空間でもきっと同じ。

カウンセリングでは、相手の感情的な側面を理解しようと傾聴する。ときに淡々と事実を話しているようでも、節々に自身の感情が込められていることも多い。カウンセラーは、感情を含んだ言葉には丁寧に関わります

例えば、相手が「できなかった」と話した場合と、「”思っていたより” できなかった」と話した場合、後者には「くやしさ」や「未練」のような気持ちが含まれている可能性がある。

そんなときは、すぐに次の話題とし「できなかった理由」を聞くよりも、まずは相手の「くやしさ」に共感し、丁寧に伝え返したうえで、その理由を聞く。
一度、気持ちを受けとめることで、相手は自分の気持ちを理解してくれたうれしさや安心感を持って、その後の話を続けてくれる。

ときに、話し手自身が、自分の感情に気づいていないことも多い。相手の気持ちを伝え返すことで、話し手が自分の感情に気づき、思いがけない想いを聞けるときもありますね。

 最後に

インタビューは、取材相手によって、話の展開や進め方も違ってくる。
今でも自分にインタビューに「カタ」はないですが、カウンセリングの要素が多分に含まれている気がします。
(きっと、効率的な聴き方ではないのかもしれませんが)

一方で、カウンセリングとライターのインタビューの大きな違いは、ライターには「読み手」がいること。ライターは、想定する「読み手」の期待に応える必要があり、これが難しくも、おもしろいところ。

インタビューする側の主観が大切であり、何をおもしろいと感じ、どう記事にするか、がライターの個性になる。クリエイティブな要素を磨くのは、なかなか大変ですね。

これからも「カウンセラーライター?」として、自分らしいライター像の模索が続きそうです。

おわり