1on1が浸透しない?

1on1ってどうしたら浸透するんでしょう?というご質問をいただくこともあるので、今回は浸透について書いてみよう思います。

そもそもですが1on1が浸透しているとはどんな状態なんでしょうか?
これは導入している組織ごとに違うのだと思うのですが、1on1がどんな状態になっていれば浸透したといえるのかを先に言語化しておく必要があるのかなと僕は感じています。

それと導入しはじめの組織でよく起こるのは、現場の上長、メンバー双方が目的をきちんと理解しないまま人事制度として1on1が導入されたので仕方なくやっているという状態です。
こういう状態でよく聞くのは、”1on1って雑談すればいいんですよね?” という質問です。
もちろん雑談も重要なテーマではありますが、1on1=雑談する時間 ではないですよね。

それと浸透していくには現場の上長とメンバー双方が1on1ってやる意味がある!(むしろやらないと!)
という気持ちになっていただく必要があるだろうと思っています。
組織のみなさんが1on1をやる必要があると認識していけば、自ずと1on1は組織に浸透していくんだと感じてます。

目的を理解しないまま1on1を導入するとどんな状態になるでしょうか?
以下の状態になっているようであれば、目的をもう一度見つめなおす必要があるかもしれません。

 ・人事施策だから仕方なくやってる
 ・雑談の場だけになっている
 ・上司から部下への一方的なアドバイスの場になっている
 ・一方的に上司が話をしている(上司がほとんど話ている)
 ・上司から部下へ進捗確認(詰め会的な場)だけの場になっている

上記の状態だと、上司はある程度満足する可能性はありますが、メンバーはどう感じるでしょう?一方的に話をされる(話を聞いてくれない、詰められる、アドバイスを聞かされて終わるなど)状態だとメンバーはあまり1on1に対して、乗り気がしないなぁとなるかと思います。

少なくとも目的をきちんと理解しないと上記のような状態となり、
1on1をすること自体無意味と感じられてしまうかと思います。
これでは浸透する前に、自然的に消滅してしまうだろうなと感じます。

浸透へのポイントって 1on1が終わったら ”いい時間だった!またやりたい!” と上司も部下も思えるかどうか。
これが繰り返されれば1on1は組織に浸透していくんだと思います。
良い1on1ってどんなテーマにせよ、やって良かったと感じられるかがとても重要だなと思っています。

それと浸透したなと感じられるには一定程度の時間(年単位)がかかるのではないかなと感じます。
なぜ一定程度時間がかかるかというと、1on1にもある程度スキルや知識が必要で、それらが身につくには一朝一夕にはできないからです。
今回は1on1スキルの成長段階についても考えてみたのでこちらも記載します。

■1on1スキルの成長段階について
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1on1には組織の目標を達成するために行うビジネス要素的なコーチと
部下のキャリア開発のために行うライフキャリア要素的なコーチの2つの側面があると思っています。
現場の上長としてはビジネス要素的なコーチの側面が非常に重要かと感じます。

【ビジネスコーチフェーズ】
・目的はあくまで組織の中における成長とパフォーマンス
・組織の目標の共有と部下の成長をどう促せるか
・組織の目標を達成し、組織の中での個人の成長をどう促すか

■第1段階(知識の理解と実践)
・1on1についての知識必要なスキルについて理解をする
・1on1を実際にやってみてること(自分の中でできる、できない)

知識、スキル
・傾聴力、承認力、観察力、質問力の基礎を学ぶ
・1on1を行う目的を上司、部下双方が理解をする
・型(マニュアル)がある程度重要

ポイント
・目的をきちんと理解して、実践するということが重要

■第2段階(実践のブラッシュアップとフィードバック)
・第1段階で実践した内容を振返り、質問力を中心に引き出す力を強化する
・フィードバック(伝達力)を学び、引き出す+伝える力を加え相手の気づきを強くする

知識・スキル
・質問力の強化
・フィードバックとは何かについて知る
・他者から1on1についてのFBを受ける、他者の質問を見て学ぶ

ポイント
・実践から振り返り(できている、できてないを振返る)
・よりよい対話の場になるように観察力、質問力を磨く
・フィードバックの重要性について理解をし、伝え方を理解する

■第3段階(キャリアとメンタルヘルスケア)
・自己(上長、メンバー双方)を知る(特性、強み、弱み)ことで他者との違いを理解する
・自己の内面を見つめることで、組織内におけるキャリアをどう作るかを考えるきっかけを作る
・自己理解から他者理解(他者との違いを認識する)をする
・自己理解からメンタル面のサポートを行い、モチベーションにつなげる(引き出す、伝えるなどの活用する)

知識・スキル
・自己理解の手法(心理テストや性格診断テスト、自己内省力の強化)
・一般的なキャリア論についての理解(プランドハップンスタンスなど)

【ライフコーチフェーズ】
・本人の人生(キャリア)をテーマにした内容になる

■第4段階(キャリアプランニング)
・本人のキャリア志向をベースにコーチング要素を強めに加え、人生をよりよくするための1on1

正直この段階まで現場の上長で行うには限界があるなぁと感じています。
ライフキャリアをテーマにするということであれば、人事部(人財開発部門)が行うなどの役割分担は必要かもしれませんね。

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