鷗外の食卓(翻訳篇) 20 『不可説』 アンリ・ド・レニエエ
〜石の階段を登つた上に、葉の茂つた木に蔽はれて、小さいトルコの珈琲店がある。そこで上等の珈琲を飲み、香の高い紙巻烟草を燻らせながら、噴水の音を聞いて涼むことが出来る。
ブラウン夫婦とジユリエツトと僕とは、小さい卓を囲んで据わつて、トルコの菓子や阿月渾子を噬みながら、ぼんやりして水のささやきと木の葉のそよぎとを聞いてゐた。
『不可説』アンリ・ド・レニエエ 森林太郎訳
出典 えあ草子・青空文庫 青空図書館
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