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足し算と引き算のまわり道はとても楽しい

何かを作るとき「足し算」も大事だけど「引き算」もとても大事だと思っている。料理でもインテリアでも音楽でも企画でも仕事でも、良くしようとするととにかく「足し算」に目がいってしまうけれど、大事なのは「引き算」で、さらに大事なのは「足し算と引き算のバランス」なのだと思う。

ゼロからのドレッシングづくり

最近は家でサラダを作るときにドレッシングを使わない。
塩、コショウ、ハーブ、オリーブオイル、レモン汁、粉チーズ・・・これだけあれば、組み合わせてそこそこの対応力を保ちながら問題なく代用できる。
初めはドレッシングがないときに代用で仕方なく、「塩とオリーブオイルだけでどうだろう?」「なんか足りないなあ、次はレモン汁も足してみよう」
だんだんとサラダと対話しているようで楽しくなってきて、「シーザーサラダってチーズ入っているし、粉チーズ足してみたらそれっぽくなるんじゃ?」「美味いな・・・アボカドのせるときは粉チーズはマストですわ」なんてやっている。今はもうドレッシングを買わない生活にすっかり慣れてしまった。

面白いのは、全部入れればいいわけではないというところ。特にサラダの具材との組み合わせには気を配って、何を入れるかを調整する。
トマトがのっているときはレモン汁を入れ過ぎると酸っぱくなるし、焼いた鶏モモ肉をのせるときなんかはサラダ自体には塩よりもハーブメインの味付けの方が良かったりする。

足し引きこそが醍醐味

同じ料理だと、スパイスカレーなんかも足し引きが重要な料理だと思う。自分はまだまだ初心者ではあるが、むしろこの足し引きこそがスパイスカレーを作る醍醐味のひとつなんじゃないかとさえ言えると思う。(※ここでいうスパイスカレーとは、ルウを使わずに油に個別のスパイスを入れて作る、主にインドカレーのことです)

スパイスカレーはスパイスの分量の加減が非常に難しく、チリペッパー1gの差で、食べることすらままならない鬼辛カレーが生まれてしまうことも珍しくない。
また工程も他日本料理とかなり違かったり、スパイスごとに香りや役割も違うため、どんなスパイスの組み合わせ×どの工程で入れるかなど複雑な要素で好みの味に辿りつかなければならないため、初心者には修行でしかない。(1回で作る量も多い)
ただそれでも、色々な工夫を通して少しでも上手くいった一皿を作れたとき、ニヤニヤしながらうなづいたりしてしまって、その瞬間がたまらなくワクワクする。

既存の調味料で作る料理ももちろん美味しい。けれど、足して足して失敗して、引いて引いて失敗して、偶然うまくいったときの、今すぐ誰かに言いふらしたくなる、体を駆けめぐるワクワクを一度覚えてしまうと、こんな回り道も愛しいよねなんて思ってしまう。


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