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中野中
2022年6月1日 12:00
ついに終わりだ。これでもう私は仕事を失うだろう。上司の叱責に耐えきれず、飛び出したビルを背にしてそんなことを思っていた。とてつもない罪悪感と後悔が押し寄せてくる。呆然とした頭で何も考えられない。気がつくと、私は知らない電車に乗り込んでいた。なんとなく携帯を見る。会社からのおびただしい着信を確認して電源ボタンを押した。焦げ臭いニオイのする駅で電車を降り、階段を登る。改札を抜け、さらに階段