20180415社説から見る現代日本
おはようございます。
本日は全紙で英米仏によるシリアへの武力行使について社説で取り上げています。
武力行使はしたものの、内戦状態を打開する具体策は不透明なまま。シリアのアサド政権を後ろ盾しているロシアと米国の対立は深まるばかりです。
以下、各紙社説からの引用です。
日経:「外交官の相互追放など、急速に関係が冷え込む米欧とロシアの亀裂がさらに広がれば、緊張は一段と高まることになりかねない。シリア内戦がここまで長引いたのは、米ロなど内戦の当事者の背後にいる大国の対立のために、国際社会が仲介役としての機能を果たせなかったためであることを忘れてはならない。中東情勢の緊迫で原油相場は上昇し、旅客機が飛行ルートの変更を余儀なくされるなど経済にも影響が出ている。重要なのは内戦の悲劇をどう終わらせるかである。」
読売:「今月初めには、「イスラム国」掃討がほぼ完了したとして、米軍の早期撤退に言及した。今回の演説でも、「無期限のシリア駐留は求めない」と強調した。米国がシリアから手を引いた後の「力の空白」を、ロシアやイランが埋めるのは避けられまい。アサド政権軍の非人道的な行為への歯止めはかからなくなる。トランプ氏は、「米国第一」主義を理由に、中東の平和と安定を担ってきた米国の責務を放棄すべきではない。」
産経:「今月初め、首都ダマスカス近郊での政権軍の空爆で多数が死傷した。住民に化学兵器の被害症状が見られることを世界保健機関(WHO)が確認している。だがこの非道に、対応すべき国連安全保障理事会は、米欧とロシアの対立で空転し、真相解明のための決議一つまとめられない。とりわけ、今回を含めシリア内戦をめぐる決議案に12回も拒否権を行使したロシアは、常任理事国として極めて無責任だ。シリア内戦から7年が経過し、大量の難民、そして犠牲者が出ている。これ以上の混乱は何としても避けなければならない。」
毎日:「北朝鮮問題への影響も考えられる。シリアやイランの友好国である北朝鮮はシリアで核関連施設の建設も支援した。07年にイスラエルがこれを空爆で破壊し両国の協力が明るみに出たが、化学兵器開発でも北朝鮮はシリアに協力したとされる。トランプ氏が政府内の慎重論を抑えて攻撃したのは、5~6月の米朝首脳会談を控えて北朝鮮に弱腰と見られたくなかったからでもあろう。だが、ロシアとイランが北朝鮮に働きかけ、米国との核廃棄の合意を妨げる可能性も捨てきれない。」
朝日:「トランプ政権は1年前にも、化学兵器を理由に空爆した。しかし、事態は何も改善しないまま内戦がつづき、国民の犠牲は増え続けた。(略)攻撃に出た米英仏は、和平づくりの重責を負うことを自覚すべきだ。今後再び事態を等閑視する姿勢に戻るようでは、ご都合主義のそしりを免れまい。
(中略)
シリアだけでなく、朝鮮半島やウクライナ、イランなど多くの地域の問題で、米ロの緊張が影を落としている。双方の自国第一主義のために、国際社会は新たな冷戦のような時代の到来をおそれている。(略)安倍首相は今回の武力行使に「理解」を示したが、追認するだけの姿勢は不適切だ。今週の日米首脳会談などを通じ、トランプ氏に中東の安定化への真剣な努力を促すべきである。」
<社説一覧>
日経:武力行使でシリアの混迷は解決できない/タクシーの規制緩和を着実に
http://www.nikkei.com/news/editorial/
読売:対シリア攻撃 アサド政権の蛮行を阻めるか/邦画アーカイブ 世界に誇れる資産を守ろう
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/
産経:シリア攻撃 やむを得ない阻止行動だ/南シナ海 中国の「力の支配」許すな
http://www.sankei.com/column/newslist/editorial-n1.html
毎日:米英仏軍がシリア攻撃 対立の泥沼化を懸念する
https://mainichi.jp/editorial/
朝日:シリア攻撃 無責任な武力行使だ/PKO日報 問われる統幕長の自覚
http://www.asahi.com/news/editorial.html
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