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#0013【仏教 基礎・入門編】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今週は世界三大宗教である仏教・キリスト教・イスラム教を取り上げます。

今週の説明においては、私の自己流の解釈が入ります。もちろん、異説・異論はたくさんありますので、あくまでも「用語」解説や各宗教を考える上でのヒントになれば幸いです。

最初は「仏教」を取り上げます。

日本にはたくさんお寺もありますし、お葬式は仏式でやる家も多く、日本において馴染み深い宗教といえます。

しかし現在日本で信仰されている多くの仏教は、仏教の開祖であるブッダが唱えていたものからは大きく変容しています。

ブッダは出家して悟りを得なければ人は救われない、という考えでした。そして、出家者には厳しい戒律を守ることを求めました。妻帯してはダメ、肉食はダメ、お酒もダメ・ゼッタイでなければ、悟りを開くことはできないとされました。

人間が苦しむ根源は「執着」にあるとして、モノや快楽・怒りなどの感情から解き放たれる境地(解脱)にいくことを修行によって成し遂げようとします。

今でも、タイ・ミャンマー・スリランカ等のお坊さんは、この厳しい戒律を守っています。一方、日本では一般社会で暮らし、妻帯し、肉食飲酒をするという、ブッダが見たらビックリするようなお坊さんがいます。日本の仏教では、それが許される宗派があるのです。

なぜ、仏教は大きく変容したのでしょうか。

ブッダは悟りを開いたのち、「対機説法」をしながら45年の長きにわたって、教えを伝達していきました。

この対機説法とは、相手に合わせてその人が理解できるように時と場合によって説明の仕方を変えるということです。

「対機説法」がブッダ死後に仏教が変容する元になります。

最初、ブッダはあくまでも「どうすれば救われるのか」を解決することが目標であり、宗教というよりは哲学(ウパニシャッド哲学)をより深めていく姿勢でした。ブッダ自身は、あまり神や仏について語ってはいません。特に死後の世界については明言を避けています。

しかし、ブッダの死後になって、ブッダの教えをそのまま受け継ぐべきだと考える人たちとブッダの教えを解釈し発展させるべきだと考える人たちに分裂します。

前者が上座部仏教となり、後者が大乗仏教となっていきます。

大乗仏教では、ブッダ在世中の教えはその時の聴衆に合わせたものであり、本当の教えはこうだったとする新しいお経がブッダ死後に次々と作られていきます。日本で人気の高い「色即是空、空即是色」の般若心経もこの中の一つです。

ブッダ死後約千年が経ってから、日本に大乗仏教が中国・朝鮮半島経由で伝わってきます。この時点では、お坊さんの戒律は残っており、お坊さんの妻帯・肉食は禁じられていました。

大乗仏教は、日本で更に独自の発展をしていった結果、鎌倉時代の親鸞(しんらん)に至って、遂に公式に妻帯をするお坊さんを認める浄土真宗が誕生します。そして明治時代になって以降は、浄土真宗以外でも妻帯を認める宗派が増え、現在に至りました。

なお、ブッダの直接の言葉を大切にする上座部仏教の経典は、近現代まで日本にはあまり伝われてきませんでした。

初期仏教や上座部仏教の教えに触れたい方は、中村元さんやアルボムッレ・スマナサーラさんの著作を読むことをお勧めします。分かりやすくブッダの言葉を解説してくれています。

最後に、その初期仏教の経典から一つブッダの言葉をご紹介します。

「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みのやむことがない。怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である。」(中村元訳『ブッダの真理のことば、感興のことば』)

この言葉は、第二次世界大戦の敗戦国、日本の国際復帰を議論したサンフランシスコ講和会議においてスリランカの代表が使って有名になりました。

「怨みを捨てるだけ」と非常にシンプルですが、これを実際に行動に移すのは非常に難しいものです。ブッダの教えが生まれてから約2500年、今も執着に伴う争いが絶えることはありません。

次はキリスト教を取り上げます。

以上、本日の歴史小話でした!

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発行人:李東潤(りとんゆん)

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主要参考文献等リスト:

https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2

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