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ユメノキロク

私は見知らぬ女の子と2人で
古くて大きなお城に向かっていた

お城の扉を開けると、『幸せ』が待っているらしい


2人はその扉に続く細い道を急ぎ足で歩いていた
手すりのない、高〜い橋の様な道

もし道から落ちると、
底が暗くて見えない竹林の中へ落ちてしまう

お城の門が見えてきて
「もう少しだよ!」と言っていると

竹林に住む悪霊たちが足をひっぱってきた

私達は道から落とされてしまい、
目の前がまっ暗になった‥

「ちょっとあんた、大丈夫ー?」と
おネエ口調の声が聞こえる

目を覚ますと、渋いデザインの長いイスに
腰かけたハデなニューハーフの人が
煙管をくわえながら こちらを見ていた

もう1人の女の子はどこ?と辺りを探すと
木の枝かツタでできた天井に
ひっかかったまま気絶していた

1匹の大きな蜘蛛が女の子へ近づいていて
糸を使い、そっと床へおろしてくれた

その家には、たくさんの大きな虫が住んでいた

虫達は皆大きくて綺麗で
心で会話する事ができた

ニューハーフの人がプカプカたばこを吸いながら

「大丈夫よ。 あいつら(悪霊)は
この家ん中までは入ってこない。
あいつらは、どうしようもない悪霊達なのよ。
だから外に出ない方がいいわ。」と言った

よく見ると、ニューハーフの人は霊だ

私はもう1人の女の子の目が覚めるまで
色んな話をした

私達がお城を目指している事を話すと

虫達がお城へ安全に辿り着けるルートを
探りに行ってくれた

悪霊達は虫達に目もくれず
生きている人間だけを襲うらしい

虫達が戻って来る頃には女の子は目を覚ましていた
さっそく、虫達が案内してくれる事になった


2人はお礼を言い、その家を出た

外は暗くて、辺りは冷たい空気に包まれている

1匹の虫が先頭を歩き、
2匹の虫が後ろについてくれた

足音を立てないように急いで歩いた

先の長い階段を登り始めると

後ろからうめき声をあげながら
悪霊達が大勢追いかけてきた

私の足を掴むと、引きずり込もうとしてきた

虫達や女の子は咄嗟に私の手を掴み、
引っ張り上げてくれた

同時にどこからか光が差してきて
悪霊達は逃げる様に去っていった

再び私達は階段を登り続け、
とうとうお城の門に辿り着いた

虫達は立ち止まり、ここまでだと言った

お別れするのが寂しかった

お礼を言うと、虫達は帰って行った

2人は扉の前に立つと、扉を見上げた

金の装飾がほどこされていて
触ると怒られてしまいそうな、美しい扉

せーの!
2人は一緒に扉を開けた


お城の中は眩しいほどに綺羅びやかで

どこもかしこも輝いている

白いドレスやスーツを着た人々は

皆笑顔で幸せそうに
踊ったり食事をしていた




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