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ユメノキロク

真っ暗な閉めきった部屋

逆さにした十字架を胸にあて

呪文を唱えると地の底から悪魔が現れ

何かと引き替えに望みを

叶えてくれるという言い伝えがあった


夢の中の私達家族は、
古くて大きな洋風の館に住んでいた

館には地下があり、物置として利用していた

妹が、言い伝えを試したいから
立ち合ってほしいと言ってきた

私達は夜、遊び半分で地下へ

全ての灯りを消して扉を閉めた

妹は呪文を唱えはじめた

けれど何も起こらない

「やっぱり迷信なんだね」と言いつつ、
もう一度試すことになった

今度は真剣に。

集中して唱えた
私も妹と手をつなぎ一緒に唱えた

すると、身体中に響きわたる様な
低い男性の声が聞こえてきた

容姿は見えないけれど
悪魔が現れたらしい

妹の手が少し震えている事に気づき
しっかり握り直した

妹は口を開くと、悪魔に望みを言った

何を望んだのか分からない

その瞬間、私の身体が強い力で一気に
後ろへ引っ張られ、壁の中へとひき込まれた

壁にはローマ字で
私の名前が刻まれていく‥

壁を壊そうと叩くと、自分の身体が
青黒く透き通っている事 に気づいた

壁は透き通って見え、悪魔のうしろ姿が見える

妹はまだ私が壁に閉じ込められた事に
気づいていないが、手が離れた事で
「どこ!?」と私を探している

「次は1人で来る事だ」と悪魔は
言い残し地の下へと姿を消した

悪魔の気配が消えた途端、妹は恐怖のあまり
十字架を床に投げつけた

すぐに手さぐりで灯りをつけ、私の姿を探した

私は必死に壁を叩き、妹の名前を叫んだ

すると妹は気づき、壁の側へ

私の名前が刻まれた壁を見て
私が閉じ込められた事に気づいた様子

「ごめん!私が何とかするから」と言うと
妹は地下をとび出して行った

すぐに、妹が両親を連れてやってきた

母は「何でそんな事したの!」と怒りながら
壁を力づくで壊そうとしていた

「そんな事をしても無駄だ」と父

言い伝えには、必ず
守らなければいけない決まりがあり

それは真夜中に1人で呼ぶ事だったらしい
それを守らなかった為、

私は100年の時をこの地下の壁の中で
過ごさなければならなくなった

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