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それは感動する君に感動していたから。「エルマーのぼうけん」のご褒美をこれから

トモ郎(息子)がお世話になった幼稚園は、おたより帳とは別に連絡ノートというのがあって、子どもの様子や出来事の報告、行事や持ち物の確認なんかを先生とやり取りしていたわけなんだけど……

これって、子ども達がお昼寝中にせっせと書いてくれていたんだよね……先生大変だっただろうに。

育児ブログに憧れてはいたけど、なんとなく気持ちにも時間にも余裕がなくて、そういったものをしてこなかった私にとって、連絡ノートは本当にありがたアイテム。宝物だ。

うちの子はもうあの時の先生よりも年上で、すっかりおじさんみたいになってしまったけれど、今更「育児ブログを書いてみたいな」と、連絡ノートを引っ張り出してきた。

……でも、書いてあるのは楽しいことばかりじゃないんだよね。懐かしいけどなんか苦しい。トモ郎はのんびりしていたから、いろいろと気を揉んだんだった。あー、思い出してきた。

子どもが傷つくと、親も傷つくんだよね。悲しんでると悲しいし。

先生はノートでそっと私のことも励ましてくれたりしてる。親子してすっかりお世話になった。

忙しい先生が交換日記みたいに残してくれたノートには、トモ郎の成長と私の成長(?)がまんま詰まっている。ほんと、ありがたい。

トモ郎は小さな頃から本が好きで、ゲームも好きで、攻略本をじっくり読みながらゲームを進めて行くような、そんな幼稚園児だった。

児童書なんかも好きで、いつもゴロゴロしながら分厚い本を読んでいたような……今でも本好きは変わっていない。 

対して、私は昔からあまり本が好きではない。

そんな私に、幼稚園で先生に読んでもらったばかりの物語を、涙を堪えながら一生懸命話してくれたことがあった。

深呼吸してみたり、休憩してみたり、痒いフリしてみたり、目が痛いとか言ってみたりしながら。

私はそんなトモ郎の姿に感動しちゃって、内容がちっとも入って来なかった。

トモ郎、私に背中を向けて寝たふりしながら静かに泣いてたな……本に感動する姿が可愛くて愛しくて、私はトモ郎の頭を撫で続けた。

指先にあの頭の感触までよみがえる……なんて幸せな時間を過ごしたんだ私は。

すっかり忘れていたんだけど、連絡ノートを見ていたらその時のことが書いてあって、懐かしさで胸がきゅーっとなった。

「エルマーのぼうけん」って絵本だ。

数ヶ月前にどっかで聞いたなって思っていたんだけど……

著者のルース・スタイルス・ガネットさん、今年の6月に亡くなられたんだね。

「エルマーのぼうけん」、おそらく私も子どもの頃に読んだことがあるんだろうけど、本嫌いだったせいかまったく記憶にない。

トモ郎も教えてくれたけど、感動のせいで少しも覚えてない。

それなのに、こんなに素敵な育児の思い出を作ることが出来たし、内容をこれからあらためて知れるなんて、ワクワクしかない。

反抗期、ずいぶん寂しい思いをしたから、こんな風に振り返ることが出来るのはご褒美みたいなものだ。

私は反抗期を「旅」と呼んでいたけれど、もしかしたら「冒険」だったのかもしれないな。

あの可愛いひとときを思い出すために、「エルマーのぼうけん」を読んでみようと思う。

幼いトモ郎が私に伝えたかったこと……

すごくすごく楽しみだ。

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