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息をするのを忘れてはいけない|2023.01.13-01.16

[2023.01.13(金)]ミツバチの行方

冬だというのに、まだミツバチが数匹、庭で粘っている。玄関の脇に置いてある鉢植えにはもう花など一つも咲いていないのに、毎日やってきて、休んでは飛び、休んでは飛んでいる。そして隙あらば温かい家の中に入ろうとする。実際、何回か室内に入ってしまってアラアラと追い出したことがある。

先日の大風の後、姿が見えなくなったのでとうとう死んでしまったかと思っていたのだけど、いい天気が続いたからかまた来るようになった。かわいいような、困るような。明後日ごろからは急に寒くなるという予報なので、さすがに越冬はできないのではないかと思いつつ、行方をただぼんやりと見ている。

[2023.01.14(土)]まだなんですぅ

ここ最近は1日に2、3回散歩に行くのだけど、そのうち1回は母がついてきてくれる。母同行時に近所の人と行き会うと立ち話をすることがあるため、だんだんと私の認知度も上がってしまったと見えて、私1人で散歩をしているときにも声を掛けられることが増えた。「がんばってるね!」から「そろそろね!」までいろいろとあるのだけど、「まだ生まれてなかったんだね!」と言われたときには、もしかしてこれが「まだ?」コールの始まりなのかと、噂に聞いていた時期の到来を感じた。予定日までまだ少し余裕があるからプレッシャーになってはいないけど、今後、周囲の言葉がどう変わっていくのか、私の心境がどう変わっていくのかは要観察という感じである。

[2023.01.15(日)]息をするのを忘れてはいけない

寝返りを打つとき、毎度パッと目が覚める。そして体勢を変える瞬間、お腹の重量に耐えきれず腰や股関節が痛み、思わず息を止めてしまう。が、本当は息を止めてはいけないのだ。胎児に酸素を送らなければ。無駄に血圧が高まるのも防がなければ。5回に1回くらい、そう思い出して呼吸をしながら寝返りを打つ。大抵はそのまままた眠りに落ちるのだけど、一晩に1回くらいは目が冴えてしばらく眠れなくなる。

毎日そんなふうなので、日中もなんとなく疲れたような感じなのだけれど、幸い実家でぼんやり暮らしているので特に支障はない。ぼんやりすることにも慣れてきたのか、有意義なことをしようという焦りも感じなくなってきた。「今年の抱負」を考えようとか言いながらもう半月が過ぎているし。もしかして、今が一生でいちばんぼんやりできる日々なのかもしれない。予定日が近づいてきてそわそわし、早く生まれないなぁなどと言っているけれど、この貴重なぼんやりした時間を思う存分味わっておいたほうがいいのかもしれない。

母によると、私自身は予定日を1週間超過して生まれてきたらしい。おかげで感染症になって保育器に入り、最初からいろいろと親に心配をかけたという。しかも酸欠でチアノーゼという唇が青くなる症状が出て、看護師さん曰く「呼吸するのを忘れるみたい。頬をつつくと思い出したように息をする」と。息をするのを忘れてはいけない。 これは私の人生初の教訓であったろうし、今もまた新たな形でその教訓を思い出して、これから毎晩、寝返りを打つたびに練習するわけです。生まれてくる子にも頬をつついて教えるのだろうか。そんな必要はないといいのだけれど。

[2023.01.16(月)]親指を負傷

入院バッグに何を入れたのか記憶が薄れてしまったので、取り出して確認した。取り出した荷物をもう一度詰め直す際に、ギュッと親指で押し込んだ瞬間、親指がぐいんと後ろに反ってしまった。思い出しても手に汗をかく。それなりに強い痛みで数十秒、指を押さえて呻きながらうずくまったあと、とにかく水で冷やした。幸い、普通に動かせるし、痛みも昔突き指をしたときのような鈍さだったので、胸をなでおろした。

家にあった湿布を貼って様子を見ていたら、夫が「妊娠中は湿布薬の成分に注意しないといけないみたい」と教えてくれた。ロキソニンなどが入っている湿布薬は、胎児の心臓などに悪影響を及ぼす可能性があるらしい。急いで剥がしてから湿布のパッケージを確認すると、ばっちりロキソニンが入っていた。ああ、怖い。

いろいろとドキドキしたのでその後はしばらく何もやる気が出ず放心していたけれど、気を取り直して入院バッグの再パッキングを終えた。ぼんやりした日々にも急な事故は起こるんだ、冷や汗とともに生きるための危機感を少し取り戻した、気もする。明日も気をつけたい。

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ぼんやりしてても焦っていても変なケガをしやすいので、呼吸くらいはしっかりと意識をもってしてみるといいのかもしれない。

今週もよろしくお願いします。


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