サバを読む
子どもの頃は苦手だった。
鯖といふ魚🐟。
骨は多いし、脂っぽい。
独特の臭いと、テラテラした皮。
血合の部分も嫌いだった。
なぜか学校給食でも頻繁に登場し、当時の私を困らせた。私は「給食は絶対残さないヤングボーイ」を気取っていたこともあって、給食強敵ランキング2位の鯖には苦しめられた記憶がある。1位は無論(?)いや異論もあるだろうから次回にするとして、今日は鯖の話である。
しかし、それも今や昔。
既にいい加減な大人を自負する私は
高タンパクで健康にも良い鯖くんとは
肩を組んでおでんの屋台に行けるくらいの仲だ。
意外と彼、あるいは彼女は、
多彩な一面がある。
焼いたり、煮たり、缶詰に収まったり、
パンに挟まれたり、パスタになったりする。
特に私がサバ缶で作るパスタは
レパートリーの中でも評判の良い
大人向けの人気料理として愛されている。
淡白だからこそ、誰とでもマッチングできる
素晴らしきオールラウンダーなのだ。
子どもには理解できないであろうが
仕方あるまいて。
人生の辛酸をナメナメし、あらゆる苦汁を飲みながら、日々終わることのないミッションをこなしているからこそ、大人は大人となり得るわけなので、未成熟な子どもなんかに鯖の哀愁がわかってたまるか!とも言えるかもしれない極論である。これはひどい。
ところで、ウチの娘はちょっとズレている。
一般的には鯖の読み方は「サバ」
っえ〜っと、 サ(小) バッッ(大)
のはずなのだが、リアルJKの娘は
サ(大)バ(小)。そうカバと同じ発音をする。
魚の種類もよくわかってないようだが
食卓に鯖が並ぶと、きまって彼女は
「これってサバ?」
と尋ねてくる。
その度に例えようのない脱力感が
食卓を襲う。
親の贔屓目で見ても彼女たちは
平均以上の運動能力、線の細さ、顔は小さく「憧れです」なんて言ってくれる後輩たちもいたりして、何かと注目される最強の2人組なのだが、いかんせんサバだか、カバだかなんだか不安定な感じ
わかるだろうかこの残念感が。
これがアニメかドラマならば、可愛げのあるヒロインなのだが、現実世界ではただの残念ガールズなのだ。
他所では口を閉じたままの方が良いぞ。
うむうむ。
さて
クドクドと書いてしまったが
まぁ実際には人生はそんなに悪いものじゃないし、鯖に肩があるかどうかもわからない。鯖とおでんはおそらく合わないだろう。人生の辛酸なんて意外とキムチのことかもしれないし、苦汁はおそらく麦芽入りのシュワシュワのヤツかもしれない。受け取り方や見方によって世界は様変わりする。
鯖の読み方も人それぞれ
いつか彼女たちも
正しく鯖が読めるようになるだろう。
正しく鯖を読むなんて
矛盾してますかね?
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