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良い朝の条件

私は、寝起きが良い方ではない。

酒など飲まないのに、朝の顔はむくみきっている。固く太い髪の毛は、その毛量も多く、
寝ぐせが異次元級である。
寝起きは「博士!実験失敗しました!」といった無能な助手を連想させる。

「ンンァナァァァァアモゥゥ!」

奇怪な鳴き声を発する「猫」という可愛らしい毛の固まりは決まった時間に我々家族を起こして回る。それぞれの部屋のドアの前に行って鳴く。

しかも、しつこい。


一般家庭の日常とは少し違った朝の風景ではあるが、これはこれで良い。

爆発した頭を左右にゆらゆらと揺らしながら
階段を下りる。1階の居間に着くと、すでに先回りした猫が「褒めてくれてもよろしくてよオホホ」と、いわんばかりにコチラにチラチラ視線を送りながら毛づくろいをしている。

【人類皆、猫の下僕党】の過激派である私は
その柔らかく美しい猫様のお腹を撫でさせてもらう。これが昭和・平成・令和の3時代を生き抜こうとする40代管理職のモーニングルーティーンなのだから、日本はまだ平和である。

身支度を整え、スキのないエリートサラリーマン風に寄せたつもりが実際は何の仕事をしているのか分からない貧相なイヤらしいピンク系の詐欺師集団の講師の姿にセットできたところで、玄関から外にでる。

スーーーーッ

この時期は寒い。
だけど、震えるほど寒いわけではない。
ピリッとした寒さではなくて、
湿度があって空気がしっとりと肌に触れてくる。

鮮やかな秋晴れの空
雲の隙間から日の光が差し込む
照らされた庭木は朝露に濡れ
キラキラと反射する
その輝きに生命の尊さを感じる。



ヤバイ!時間が無い

なにやってんのよ朝露じゃねーんだわ早く駅まで急げっての!猫のお腹とかヌルイこといってるからいつも出発時間ギリギリになるんだろうが。朝食を家族で囲むくらいの余裕を見せてこそ「良い朝」と胸張って言えるのに。しかし私には時間が無い。とりあえず駅のホームに立ってしまえば何とかなるのだが、そういえばホームで新幹線を待っている間にホットコーヒーなんて飲みながら待っていたら最高だろうな、席に着いたらチョコチップスコーンを頬張りながらスマホでnoteを読みたい。耳にはイヤホンから流れるPodcast.。

流れる街並みを横目にささやかなモーニング
徐々に濃くなる秋の色、流れる大きな川に
日の光が反射して岸辺を明るく浮かび上がらせる
この地方にとって秋は非常に短く、すぐに冬になる。今だけの特別な時間。これこそが良い朝の



隙あらばすぐに妄想する癖ッ!!!!

街並みィィ!?広がってるのは田舎の田園風景じゃないかどこに街並みがあるというのか。耳から流れるのは、朝に最もふさわしくないオカルト系都市伝説Podcastである。目的地に到着したらオフィスまでの通り道でコンビニに寄る。毎回、肉まんってこんなに高かった?とレジで思いながら買い物を済ます。決しておしゃれにはいかない私の朝、理想と現実はかけ離れているけれど、

そんな毎日が私は好きだ。


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