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会員制の粉雪   (ショートショート)

地球温暖化のせいで日本は北海道を除いて雪がなくなった。貧富の差も広がった。スキーを楽しみたい時は、北海道もしくは海外にわずかに残ったスキー場に行く。しかし庶民はそうは行かない。少しずつお金を貯めて、家族や友人と会員制かつ時間制の室内の人工スキー場を借りる。それでも1時間あたり数百万円するので、今やスキーはお金のかかる趣味になった。もうスキーを実際にやるのは諦めてAI操作による擬似体験で満足する人も多い。

そこへ会員制粉雪ルームなるものが出てきた。小さな部屋に入り粉雪が舞う映像による人工雪原で客が小さなかまくらの中のこたつに入ってその中で鍋料理を楽しむ。人工的な寒さを感じながら温かい料理を楽しむのも高級料理になった。そこへ、昔ながらのこたつに入るエンタメ要素も入って大人気だ。それも高額なので冷たくない会員制粉雪ルームで雰囲気だけ味わうプランも出てきた。でも一番安いのは、貴重なアイスをなめるだけのプランだろう……。



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