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個人でイベントを開催した話(ビールのデザインにフォーカスしたイベント)

こちらは前編の続き。
ビールのこれからのために活動している者です。
以下は先日「ビアーーーーーーート」というビールとアートのイベントを主催した話。


序:個人イベントを企画する理由

前提として自分自身のフォロワーやファンになってもらえる人を増やそうというマインドはある。
ビールの売り上げを増やしたいのと、
何をするにしても味方になってくれる人がいるに越したことはないので。
自分を通してビールのことを好きになったり、好きな人が集まってくれれば多少無茶してでも何だってやります。傾いてます。

前編で行ったボトルビールの交換会での狙いは、
個に着眼
「日本の遠方にいる人同士をくっつける」
「ファン同士の結束を強める」
「まだ見ぬ地のビールに出会う」

小規模インポーターのイベントの狙いは、
店とサプライヤー、いわばBtoBに着眼。
「普段交流する機会があまりない個人インポーター、ユーザー両者を接触させ、人となりを知ってもらう」
「大手インポーターが扱う以外の第三国にも良質な商品があることを体験してもらう」
「新しい視点で店舗に新しいイベントの可能性を提供する」

だった。
でも一番は「自分の企画力がどこまで通用するのかを試す」が大きかった。
イベント=タップテイクオーバーor野外イベントだけでは芸がないと思ってるので。

「クラフトビールは味だけを楽しんでいるわけではない」

前にアメリカにビール旅行行ったときにたまたま出会ったカナダのブルワリー、Collective Artsのビールのラベルが忘れられなかった。
特定のラベル一枚ではなく、
「アーティストとコラボをしているので定番のビールでのラベルが変わることがある」というのを聴いて衝撃を受けたのだ。

その手があったか!

まさにクラフトビールならではの遊び心ではないか。
その時から気づいた。
ラベルを知らず知らずに意識している、いや、
クラフトビールを飲む時、「ラベルやグラス、ブルワリーの世界観を一緒に楽しんでいる」ことに。
海外にはWORLD BEER AWARDSなどでビールのデザインでもコンペティションがある。
僕が確認できていないだけかもしれないが、日本には大きな公式大会はない。
ラベル収集の趣味はあったが、「ビールのラベルだってアーティスティックなんだから、展示会みたいなものがあってもいいし、いつか開催したいな」と心の何処かで思っていたのだ。


ステッカーやコースターのほとんどは私物。こんなにたくさん種類があることを知ってほしかった


「ビアーーーーーーート」開催へ向けて動く

時代は脱飲み会、脱アルコール。
少子化が進むのに醸造所が800近くに増えた日本ではいづれ必ずパイの奪い合いと頭打ちが始まる。
そういった危機感がある。
ビールが好きな人だけでなく、今あまり興味がない人でも行きたくなるイベントを企画しなければ、と焦りがあった。
ビールのラベルデザインがこんなに芸術的なんだから、そこがきっかけでビールを手に取るようになってくれれば、、、
デザイナーでビールを選んでくれれば、、、

それが今回のイベントの開催理由である。

ビールのデザインにフォーカスしたイベントがやりたいなんて、
僕が知る限り、前代未聞な趣旨なはず。笑
人に説明するのが大変だった。笑

でも着眼点には自信があったし、「細かいビールのスタイルや味なんてよくわからない」という人を巻き込むにはうってつけだと思った。



店舗探しは難航したが、小規模インポーターイベントの際に「広い二階スペースを持つ店がある」という話が出たことを思い出し、訪問してみた。
確かに二階は卓球台が二台入るくらいのスペースがあり、イベントで使える人間を探しているとのことだった。
店もいい。店主もいい。エリアもいい。
即決だった。

趣旨はいまいち伝えられなかったが、
共同開催者にTOAさんがいたからか、歪な情熱が伝わったのか、
結果、破格の条件で使わせていただけることになった。
おまけにTOAさんが手掛けた缶と、きっかけになったCollective Artsの日本初上陸のケグ(高いやつ!笑)も入れてくださることに。

僕には絵心がないので敬服

ただ、経験上盤石でもコケたイベントもたくさん見てきたので、絶対に黒字になる仕組みを作りたかった。
①二階で展示できる強みを活かし約一週間展示期間を設けさせてもらった。
②別途ビールラベル投票企画を走らせ、事前にビールデザインへの意識を高める施策を打ち出した。

②も元々どこかでやりたかった企画だったが、考え方としては本イベントに来て飲んでもらうことがKGIとするならKPI的な、「導線整備」が必要だと思ったからである。
(このランキングの結果は後日ビアジャーナリスト協会のページに投稿して載せる予定なのでお楽しみに!)
ビール好きの中では一定数盛り上がったが、甘んじず熱心にDMも駆使しブルワーやビール関係者からも投票をもらえたのは本当に嬉しかった。

デザイナー/クリエイターの選定

前代未聞のイベントをどこの馬の骨ともわからないおじさん一人を主催者にして成功させようと決意するほど僕も大胆ではない。
ビールはともかくアートに関してはキャッチーな第一人者が必須になると考えていた。
そこで、交流があったビールのデザイナーであるTOAさんにコンタクトを取った。
正直、社会的に見たら格下である僕からのオファーなので心配だったが、イベントを面白がってくれて快諾してくれたのでほっとした。

このイベントを開催するにあたって、自分が立ち上げに関わったファントムのArt Ale Worksのビールとラベルを担当したデザイナーをもっと世に知ってもらうフックにしたいと当初から考えていた。
デザイナーは都合がついたので当日参加が決まった。
正直、ビールのラベルデザイナーと喋れる機会などビールが好きでもほとんどないので、これだけでも十分顧客満足度が取れるイベントになる未来が予測できた。

電飾はデザイナーさんの持ち込み。素晴らしい発想だ

僕からはこれまでの人生で集めてきたビールのラベル冊子5冊分と王冠、
Tシャツ、キャップ、細かいグッズを持参した。
また、ビールラベル投票の結果発表と、自分が推しているビールデザインやデザイナーのポップを作成し展示した。

製作の時間をもっとかけるべきだった反省がある


最後のピース

ラベルの展示からグッズ販売やワークショップも兼ねた会に成長しつつあったこのイベント。
グッズ制作をメインにされている方も数人チェックしていたし、折角なら出ていただけないかと考え始めていた頃。

We Wear Beerの中の方が何かのイベントに出店してみたいと呟いていたのだ。
We Wear Beerさんは立ち上がったばかりでこれまで出店の経験がないとのことだったので、今回の趣旨にピッタリ。即快諾いただけた。
やりとりもスピード感も素晴らしく、展示物の送り込みまであっという間で鮮やかな手際だった。

直接実物を見れるので反響が高く、盛況だった


当日:前代未聞のイベントはどうなったか

拡散してくださった方も多く、友人が友人を呼ぶ、SNSの投稿で遠方から来てくださった方もいらっしゃり、閉店間際まで新規来場の方が続く盛況ぶりだった。

経験上人数は多いし、ヒマな時間があると踏んでいたが、想像以上の来客があった。
オープン直後から来店があり、休憩回しなど出来なかったことも多かったが(すいませんでした)
個人でイベントを開催する上で絶対に守りたいと思ってることが一つある。

それは「関係者に確実に報酬/収益を出し黒字を出して帰ってもらう」ことだ。

大型ビールイベントでは現在ボランティアで運営するのが主だが、
僕は労働の対価があって然るべきだと考えている。
とはいえボランティアは世界的音楽フェスでも募っているし、ライブがタダで見れるなどの見返りがあることはドキュメンタリーで知ったので、
ビールが飲める形で参加する側も納得してるならそれはそれでいいと思う。
ただ僕は今後の業界のために「やれば収益が出る」ことを知ってほしいし、
実感してほしいし、それが活動のモチベーション、業界の健全化につながると思っている。
(もちろん、これまでのスタッフには「思ったより稼げなかった」と思われてるかもしれないし僕の力不足で実際に「コスパが良くなかった」という感想をもらったこともある)

また、今回はビール層にはリーチできたがアート層にリーチできなかったので、告知方法の努力不足が否めなかったのと、
売り上げの偏りがあった商品もあったのも反省点。
もっと僕自身が有名になり数字を持った人間にならなければと感じた。

反省ばかりだと暗いオチになりそうなので付け加えるが、知らない人同士が繋がれて最後まで笑顔の絶えないイベントになったよ!笑

最後に。
ここまで読んでいただいたあなた、
貴重な時間を割いてお越しいただけた皆さま、
クリエイターデザイナー店主の各人にこの場を借りて心よりの感謝を。
これからもビールの活動を続けるので応援してくだされば幸いです。
絶対面白くさせるから。

ビールと音楽とクリエイティブを中心に少し突っ込んだことをまとめるように心がけています。 サポートしていただけると心の励みになります。