シェア
邪三流ヨコシマサンリュウ
2020年4月1日 00:48
小窓から射し込まれる夕明りが、薄汚い便所を、じわりじわりと、染め上げてゆく。逢魔刻、と呼ばれたる時間の訪れ。それを警告せし、いや、正確には、ただ学業の終わりを告げるだけの鐘の音が、校舎の中を浮遊し、校舎だけに留まらず、周辺の、公園や団地、田畑に挟まれた公道を、吹き抜け、それは、誰にも届かず、消え失せゆく。すでにこの街では、市民に向けて、帰宅の時刻を告げる鐘の音が、響き渡っていた。聴けば、誰もが