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C. ヘンツェ「夜想曲」〜 「青本」和声分析36


C. Henze: Nocturno 概要

ハ長調。構成はA - B - C- A+Codaとなっている。BとCの部分に関してはイ短調(平行調)に転調している。
基本的にはシンプルな和声進行だが、どう解釈するかで振る記号が変わってきたり、大胆なことをしている部分もある。

和声分析

A

上でも書いた通り、基本的にはシンプルな和声進行となっている。
小節内で和音が転回していると捉えられる部分もあるが、基本は1小節に対して1つの和声記号を振った。

メロディに対してあまりその音の機能がどうというのはちょっと違うとは思うが、3小節目から4小節目のつながりがVであれば導音であるH音が2度下降してA音へと下がっている。この部分は3小節目2拍目のD-F-Hをイ短調の属九の和音(根音と第3音省略)に類するものとみて、そこからイ短調のIの第一転回形に解決した風味と捉えてみてもいいのかもしれない。
ただハ長調のVIの和音となると基本的に第一転回形は使わないので、このA音は非和声音と捉えるべきだろう。

5小節目の和音はニ短調の属九の和音と同じもの。

B

9小節目でハ長調のIからVIへの進行を使ってイ短調に転調。
13小節目は九の和音ではなく七の和音とした方が良いかもしれないが、Aの5~6小節目と同じ進行とした方が、少しの違いで雰囲気が変わるようで面白いと思ったので上の画像の通りとした。

C

上段は低音がメロディであって、転回形と考えるとまとまらなくなってしまう音がある(19小節目で?としたもの)ので、構成音だけ見て記号を振った。

下段はハ長調に戻るための準備の部分。22〜23小節目が不思議というか大胆なことをしている。上の画像では雑に和声記号を振ってしまったが、イ短調の属七の和音の第3転回形からハ長調のIIの九の和音のようなものへ繋がるというのはどうにも具合が悪い。
ではどうすると辻褄が合うかと考えたが、21〜22小節はイ短調のI - Vでもあり、ト長調のIIからIの第2転回形への進行でもあると考えるのが良いのかもしれない。
G音こそ出てこないが、22小節目最後のH&D音(Iの主音省略)までの装飾のようなものと考えればト長調の属音の上での自由な動きと解釈できる。


A+Coda

33小節は冒頭と同じものに終結部として2小節付け加えられた形。
IVから経過音を使ってIへと解決すると捉えても良いが、ここではハ短調のIVに第6音Dを付け加えたものとしてみた。


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