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N. コスト「練習曲」〜 「青本」和声分析41


N. Coste: Etude 概要

ニ短調。A - B - Aの三部形式。
中間部の比重が高めで、長いドミナント部分を持ったものとなっている。
また中間部は細かく転調しているようでもあるが、和声記号は極力複雑にならないものを選んで振ってみた。

和声分析

A

機能で書けば、T - SD - T, T - SD - D - Tの繰り返しとなるが、3小節目の2拍目からの変化が印象的。


B-1

人によってどう記号を振るかというのが変わってくると思われる部分。転調だらけにすると見づらくなるので、便宜上ニ短調の平行調であるヘ長調で記号を振ったが、なかなかへ長調とはし辛い和声進行になっていると思う。
9~10小節はト短調のD - Tの進行のようだが、10小節目の最後の方でEsが出てくるとなると、12小節目まで変ロ長調として和声記号を振りたくもなってくる。

和声記号を振ろうとなると色々ややこしくなってくるが、この部分はもっとシンプルに、16小節目まで2小節毎に違う調(ト短調、へ長調、ニ短調、イ長調)のD - Tの進行が繰り返されると考えてみてもいいかもしれない。

B-2

16小節目から上の図では省略したが下段最期のダ・カーポまではニ短調のドミナントとなる。
バスで属音(A音)が鳴っている上では自由に和音が使えるので括弧書きのような和音が登場している。
上段最期の和音はイ短調のIIか主音と導音が省略されたVという可能性を考えたが、IVに第6音を付加したものとも考えられるかもしれない。

最後の小節で暫くぶりに出てきたB音をフェルマータで伸ばすのは、ニ短調に戻るということの予告といったところだろうか。

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