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M. カルカッシ「アンダンテ」(練習61) 〜 「青本」和声分析24


M. Carcassi: Andante 概要

イ長調。A - B - Cの3部形式。
青本では装飾音の練習として取り上げられている。

和声分析

Aパート

登場する和声進行はT - D - T,  T - SD - D - T,  T - AD - Tの3種が用いられている。
3小節目2拍目はIVからIIに変わるとしてもいいが、シンプルにIIの分散和音と考えた。


Bパート

9小節目から10小節目が少々不思議な感じになっている。
バスが15小節目までずっとEを鳴らしているのであれば、この部分はすべてドミナントということでわかりやすいのだが、あるいは11小節目からバスをAとしていればなんの問題もないのだが、実際にはIの第二転回形から基本形へと通常はやらない進行となっている。バスのみ解決を遅らせてると解釈することは可能だろうか。

Cパート

冒頭に戻ったかと思ったら旋律も和声も違うという展開。
上段はごくごく普通の和声進行だが、ちょっと雰囲気が変わるのが21小節目。ニ長調の属和音と同じで、イ長調の場合だと下属和音へと進行する機能がある。そしてこの和音でイ長調には本来存在しないGの音が入ることにより雰囲気が変わり、またその次の小節でDとFisへの解決が遅れることによっても緊張感が高まっている。

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