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ZENAIM KEYBOARD 改善品レビュー

こんにちは、くわな(Twitter ID:@987_168)と申します。
普段、競技タイピングとかいう意味の分からない界隈に生息しています。
最近では、寿司打で歴代1位と思われる(というのも誰も記録を管理していないので定かではない)記録を出したり、

REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023で準優勝を受賞したりしました。

私、タイピングは人よりは圧倒的に早いです。その筋では有名だったタイピングソフト、『タイプウェル国語R』のランキング500番台にいます。残念ながら現在では更新が止まっていますが、VALORANTで例えるなら、あと一歩でRADIANT。

abaraさんのnote

たまたまabaraさんがZENAIMキーボードのレビューをしている記事を見つけましたが、自慢げに語っているそのランキングの2位は僕なので、普通にタイピングではRADIANTといっていいでしょう(マウント)。

で、そんな自分ですが、ZENAIMキーボードの改善品を使用させて頂く機会に恵まれましたので、改善された点などについて、気になってる方向けに色々と共有しようと思います。誰かのお役に立てたら幸いです。

■以下注意事項です。
・今回改善品としてお預かりしたものはあくまでプロトタイプです。
・改善内容に対してのレビューが主となる記事です。ZENAIMキーボードそのものを評価する内容としては不十分過ぎることから、他の方のレビューを補完するものとしてご覧ください。
・主として競技タイピングという(特殊な、開発時想定外の)用途でテストしたということをご理解ください。

ZENAIMキーボードについて

ZENAIM(ゼンエイム)は、ゲームをプレイする一人一人にとって幸福なゲーム体験の提供を目指すゲーミングギアブランドです。

https://zenaim.com/ - ZENAIM

ZENAIMは株式会社東海理化電機製作所が運営するゲーミングギアブランドです。引用した理念、よくわからんけどすごいな(小並)。
ZENAIMから発売されるゲーミングギアの第1弾はキーボードに決定。
ゲーミングライフスタイルブランド・ZETA DIVISIONの選手陣が開発に協力していたという触れ込みに加えて、Laz選手・crow選手がSNSで発信したり、試合でも実際に使っているということで注目を集めてたっぽいです。

少し自分語りをさせて頂くと、自分はタイピングばっかりの人間かと思いきや、FPSゲーマーでもあり(というかむしろそっちに割いてる時間のほうが長いのでは?)、VALORANTもプレイしてます。最高ランクはイモータル2で、現在イモータル1です。たまにアセンダント3に落ちたりしてます。といったところで、プロが使うデバイスには影響されがち。

話が逸れましたが、そんな感じで影響されてZENAIMキーボードを購入するに至ったわけです(チョロい)。

経緯・不具合の内容

■購入を決意した後の話は時系列順で列記します。

5/16 20時 いわゆる通販戦争に運良く勝利したためZENAIM キーボードの初期ロット品を購入。

5/20 14時 現物が到着し、よっしゃ早速使うぞということで意気揚々とタイピング配信を始める。使い始めて十数分で2つの違和感に気づく。

1.スタビライザーが使われてる系のキーがおかしい。スタビライザのないキーと比較してやたらカチャカチャ言うし、一番ひどいのはスペースキーで、途中で打鍵感が変化する、気にせず使用を続けるとキーキャップが浮いてくる→最終的にはキーキャップがスタビライザーから脱落する。
 ⇛自分の場合は(というかほとんどの人に当てはまると思うが)、スペースを入力する際、左手親指でスペースキーの左端付近を押下することになる。端のあたりを連続で、という条件を避ければ動作不良を避けられるかもしれないけど、これ対策しようがねえな、と絶望。

2.ZENAIMソフトウェアでLEDライティングの設定を変更した際、輝度に比例してコイル鳴きのようなノイズが大きくなること。
 ⇛これが結構デカい。輝度MAX状態だと普通にPC作業をする感じで机に向かう距離感でノイズが認識できるレベル。中華キーボードもびっくりの仕様やんけ、という絶望。


同日 上記の事象について初期不良かどうか?をZENAIMサポートに問い合わせ。

5/22 18時 サポートよりメールが届く。内容は以下の通り。
1.Space、Enter、Shiftといったスタビライザーが採用されているキーの動作不良を認める。スタビライザーとキーキャップは組み換え作業の対象(8月末予定)となること。
2.LEDライティングが起因のノイズについては個体差もあるっぽいうえ引き続き調査を行うため現時点での回答は差し控えること。

同日 22時 加えて、ZENAIMプロジェクトマネージャー橋本氏(@shikureu)よりTwitter経由でダイレクトメッセージを頂く。
橋本氏「5/20の配信を視聴したけど動作不良ですねあれは…。配信中秒間20打鍵とかしてましたが改善品できたらテスターとかやりません?」
くわな「このキーボードってゲーマー向けじゃないですか、自分もVALORANTやってますけどそっちの内容は大したこと言えませんよ。なのでタイピングという観点からでもよければ、一応協力できますけど」
断られても当然だろうという条件?を打診しましたが、
橋本氏「おkです」
何故か快諾されたため、テスターとして協力することに。

(不具合に絶望していたので今まで散々ツイートでこき下ろしてました。)
ちなみにこういったお声掛けを頂いたのは生まれて初めてです。貴重な体験をさせて頂いてます。ありがとうございます。

6/12 橋本氏「改善品送りました」
6/13 くわな「届きました」

以上が改善品を受け取るまでの経緯になります。

DMのやり取りについてかなり端折って要約しているだけで橋本氏の口調は異なります。実際、非常に礼儀正しい方で、まさに品行方正といった感じで、僕みたいな人間に対しても丁寧に接してくれる素晴らしい方だというのは誤解を招かないよう申し添えておきます。

余談ですが、前述のタイピング配信はTwitchで行っていて、突発的に始めてモチベがなくなったらなりふり構わず即配信を閉じるという傍若無人さ加減に耐えられる方、ぜひこちらからフォローしてください。ちなみに未だに収益化すら通っていない過疎チャンネルです。

改善点およびその評価

改善品が届いて本格的に2~3日テスト的に運用した感想です。短いといえば短いですが、正直30秒使っただけで違いが明確に分かるくらいに改善されてたので、2~3日も使えば十分でしょう。

1.スタビライザーについて

Shiftキー・Enterキー ⇛ 文句の付けようがない。スタビライザーのないキーと同じ剛性に感じる。もちろんカチャカチャ音もなくなった。

Spaceキー ⇛ かなりの改善が見られた。剛性も十分だし、
キーが浮いたり、スタビライザからキーキャップが脱落したりということは起きません。高速タイピングをしていてもです。

 こちらはZENAIMキーボードで出した「タイプウェル国語R・基本常用語」の記録。ランダムに選出された400打鍵分のワードをどれだけ早く打ちきれるか?というゲームですが、この記録では400打鍵を21.3秒で打ち切っているため平均18.7打鍵、瞬間的には24打鍵/秒くらい出てるときがあります。ちなみに、スペースキーだけで見ると2.5打鍵/秒くらいの頻度で打ってます。改善前の初期ロット品では400打鍵打ち切る前にスペースキーが動作不良を起こしていましたが、改善品については何セット連続でやっても動作不良を起こす気配はありません。つまり、こういった高速タイピング・競技タイピング的な用途でもスタビライザについて心配せずガシガシ打てるキーボードに仕上がっています。

 ただ、英数字キーと同じ打鍵感、剛性感を得たShift・Enterキーについて100点とすれば、Spaceキーは95~97点くらい?(点数に揺れがある理由は後述)まで改善された感覚にとどまります。100点でないとはいえ、実用上(高速タイピングにおいて運用した場合でも)その数点は無視できる範囲であり、超コアなデバイスオタク的観点、変態パー(競技タイピング勢の中でもヤバい人を指す)のうちの一握りの観点からしたら…って感じで本当に高みの中での話になってるので、ほぼ完璧に改善されたという解釈で差し支えないはずですが、以下は興味があれば話半分に聞いてください。

 肝心なその「足りない数点」の中身についてですが、自分はスペースキーの打鍵感に差異が生じていると感じたことにあります。Spaceキーの左上端と左下端と右上端と右下端を打鍵した時の感触が本当に微かに違う。でも改善品2つ触った感じその大小も異なっていて、後に頂いた改善品のほうが感触が良かったため個体差(ちなみにそれが点数に揺れがある原因)があるのかなという可能性もあります。ちなみに、ハイエンドキーボードであってもスペースキーのキーキャップのどこを押下するか?で打鍵感が全く一緒になっているものは今まで触ったことがありません。なので、改善されたZENAIMキーボードが暫定1位だと個人的に位置づけてはいます。
 ちなみに、このフィードバックを橋本氏に伝えたところ、微細な打鍵感の違いは確かにある。としたうえで、
「スタビライザの金属シャフトには公差があり、樹脂部材を組み立てるうえでの構造上の仕様でそうなる」との返答頂きました。ハイエンドキーボードであっても完璧なスペースキーを実現できない理由みたいな感じですね。キーボードを何も考えずガシガシ叩いてるだけの人間にはたどり着けない事実がそこにはあった。。。てか、テスターとしての浅さが出ちゃいましたね(実際浅いので当然だけど)。
 しかしながら、「打鍵感をさらに均一にしていくこと」は今後の課題として既に認識済みという内容もお返事に盛り込まれてました。こんな微妙な打鍵感の差異は自分しか気づいてないと思ってたので、上司に有能アピールしたら逆に自分の無能さに恥かいたみたいな感覚になってしまった…。
 というより、本当に些細なことだし、これ以上の改良は既にあるハイエンドキーボードを含めても前人未踏の領域であることは間違いなく、開発要素が非常に大きいようで、今後どうなるのかまでは自分にもまったく分かりませんので悪しからず。

2.LEDライティングのコイル鳴きについて


 これについては言及するのがすごく難しい部分で、いただいた改善品は間違いなく改良されているのですが、そもそも初期ロットの中でも個体差が激しい部分であり、全く気にならないという個体を持っている人もいれば、自分のように輝度をあげると耳を近づけなくても聞こえるという個体を持った人もいるためです(あくまでSNSなどでサーチした限りですが)。そして人によって感じ方なども違いますので、本記事で一番参考にならない部分になってしまいます。
 いただいた改善品についても、LEDライティングのコイル鳴きについて個体差がやはりあるようで、コイル鳴きを最小限にした個体を手にしたら輝度100でもほぼ無音!びっくりしました。静まり返った夜中に防音性の高い部屋とかで耳を近づけないとはっきりこれがコイル鳴き、と認識することは難しそうだなレベル。ただ改良途中なのかコイル鳴き対策マシマシではない個体については、輝度100に設定すると耳を近づけなくても一応鳴ってる?か?…なぁ……?くらいの改善にとどまっていました。耳近づけると普通にわかるくらい。ただ輝度70とか60に落とすと耳を近づけても相当分かりません。まあもうストロークが短いと基盤までの耳の距離も近くなっちゃうから、ある程度割り切りかもしれませんね。
 そして、改善されたのは音量だけでなく、音質?も変わっていました。コイル鳴きっぽい不快感のある感じの音質から、不快感のない音質に変化しました。うーん、形容するのは難しいですが、機械ってこういう音発するよね的な音。周波数(音の高さ)の問題かな?なので音量そのものも改善されてますが、それ以外での面の改善もデカいです。まあ自分はLEDライティング全然使わなくてもいい派ではあるし、輝度100じゃないとダメっていう場面が想定できないので、もうどうでもいいか。
 しかし、5月販売分(初期ロット)についてどうなるか・どこまで改善されるか現時点では言わないでください、と伺ってます。ただし、
橋本氏「原因となる部分はほぼ特定できてる・過去販売分もちゃんと公式から案内出して対応予定だから安心して!」とのことです。来るべき時が来たら公式Webサイトを確認してください。
あくまで予定だからどうなるかはわかりませんが、大人の方々に頑張ってもらいましょう。それ以上僕からは何も案内できません。

※2023/06/26追記・動作不良の対応について

5月16日20:00に販売させて頂きましたZENAIM KEYBOARDに関しまして、すべて無償にて新品製品へ交換させて頂きます。
(中略)
改善内容は以下の通りです。
・スタビライザーが組付けられているキー(左shift、space、enter)の動作不良改善
・コイル鳴きの音量抑制および音質による不快感の改善
・キーキャップ塗装の耐久性向上
・背面チルトスタンドの剛性向上

スタビライザー動作不良に関する交換対応および販売再開のお知らせhttps://zenaim.com/blogs/news/230623

 ZENAIM公式より動作不良への対応についてお知らせがありましたので、その内容についてこのnoteでも追記します。当初はスタビライザーの交換・組み換えが予定されておりましたが、初期ロット(5/16販売分)は8月中にすべて無償で改善済の新品製品に交換対応とのことです。
 自分が初期ロットで購入したものから確認できた「コイル鳴き」に関しても改善が明言されました。詳しい内容は引用元のURLよりZENAIM公式webサイトを参照してください。

まとめ・余談

■感想
 今回ZENAIM キーボードの改善品をテストしましたが、公式に「動作不良がある」とアナウンスされてから、改善品が出来上がるまで3週間足らず。この短期間でかなり改善されてて驚きが隠せません。このスピード感でやってる企業はめちゃめちゃ珍しいんじゃないかと思います。こういった感じで、真摯に向き合っている感が、ZENAIMプロジェクトマネージャーの橋本侑季氏とお話した以外の部分からもはっきりと見えてきます。昨今、サポート窓口はほぼ機能しないが製品は売りっぱなし、という選択肢を取る企業も珍しくないなかで、よりよい製品をユーザーに届けるという一点で丁寧に対応してくださっている印象です。

■まとめ
 しかしながら、ZENAIMキーボードは税込価格で4.8万円ほどのいわゆるハイエンド製品です。
 競合他社のハイエンドキーボードと比べられ、独自キースイッチの開発費用だのなんだの知らねえ!俺は4.8万円払ったんだ(ドン!)という消費者のほうが多いはずですし、求められるのは価格に見合ったキーボードとしての性能、質感ということが残酷な現実としてあると思います。
 そして、初期ロットとして購入した製品については4.8万円という価格に見合ったキーボードではなかったというのが僕が抱いた正直な感想でした。
 しかしながら、頂いた改善品については、これであれば競合製品となるハイエンドキーボードと比較しても競争力がある、そう確信できるものに変わっていました。加えて、さらによい製品になるよう検討、研究および開発がなされているようです。というわけで興味があるという方は是非買ってください、次の販売はいつになるか知らんけど。そして初期ロット品を購入して組み換えを待っている人はマジで期待して大丈夫です。てか、最初からこれで販売してくれたら最高だったのにね…

■余談
 僕は今までこんなにストロークが浅いキーボードは触ったことがなかったので、慣れがいるなあ感は結構ありました。FPSゲーマーだとロープロファイル系のキーボード使ってる人はそこそこ居るかも知れませんが、それでもさすがに多数派ではないと思うし、乗り換え時に同じことを感じてる人がいるかも、と思っています。
 ロープロゆえにステップスカルプチャー構造がないことに加え、チルトスタンドを最大にしたときにつく角度が8度くらいなんですよね。個人的には10度くらいはあったほうが好みだし、ベストは12度くらいかな~って勝手に予想してます。それについては意見としてすでに「チルトスタンドなら交換も容易だしさらに角度をつけられる部品の別売りも検討してくれませんか。」というのはフィードバックとともにお伝えしてあります。

 これが僕だけの意見であれば僕が異常者というだけなのでいいですが、
すでにZENAIMキーボードをお持ちの方で同じように感じている人がいれば、是非ZENAIMプロジェクトマネージャーの橋本氏(TwitterID : @shikureu)に意見をいただければと。つまるところチルトスタンドのオプションについて僕がほしいだけなので、嘘でもいいからチルトスタンドくれって言ってくれってことです。
 というのは半分冗談(半分本当)で、ZENAIMキーボードをより良くしたいぜ!ここはこうあってほしいぜ!的な意見は何でもかんでも送ってしまってよさそうです。本当に真摯に対応していただけるし、せっかくここまでアフターサポートが充実しているなら、利用しない手はないですから。

■お礼
最後まで読んでいただきありがとうございました。書きたいことすべてかけていないので、随時追記するかもしれません。
なにか質問があれば、直接Twitter(@987_168)までリプライまたはDMいただければと思います。よろしくお願い致します。

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