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映画『エゴイスト』を観て

先日、1年3ヶ月付き合った彼女に振られた。
彼女には、「いくみちゃんは、人のことを下に見てる」「私たちは価値観が違うし、背負っているものも違う」と言われた。

人のことを下に見てる奴が、うつ病になるかよ!と思ったし、背負ってるものってなんだよ!と思ったけど、「エゴイスト」を見て、彼女の言いたかったことが、何となく分かった気がした。

今日は、長くなりそうなので、お時間ある人だけどうぞ……

あらすじ

14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。
映画『エゴイスト』オフィシャルサイト

価値観の違い

私と彼女は、生きてきた環境が正反対だ。
私の家は、先祖代々からの持ち家で、田んぼも何枚も持っている農家だ。父親は地元の有名企業で管理職をした後、定年退職し、母親は公務員で管理職をし、定年退職した。きょうだい3人とも、したいと言った習い事はさせてもらえたし、奨学金を借りながらも専門学校や大学に行かせてもらえた。決して裕福とは言えないけれど、我慢の少ない生活だったと思う。

人様の家庭のことだから、詳しい話は控えるが、彼女は母子家庭で、三姉妹とも高校卒業と共に働いたらしい。彼女は、「本当は、調理の専門学校行きたかったんだよね」と話してくれたこともあった。

私は、家族への優先度がとても低い
はっきり言って、家族のことが好きではない。
だから、もし、親に介護が必要になれば、すぐにでも特養や介護施設にお世話になろうと思っている。

彼女は、家族のことが大好きだ
だから、地元を離れたくない。
結婚して家を出ている姉の代わりに、中間子の彼女が、生活費や車代を負担している。

モラハラ気質

私は彼女に無神経なことを言い続けていた。
「専門学校行きたいんやったら、今から借金してでも行ったらええやん」
「なんで、そんなに家族のことが大切なのか、私には理解ができん」
「生活費とかは、(彼女)だけが、背負うことじゃないやん」

私は、大学で保育を学んでいました。
その中で、貧困は連鎖するということを学びました。
だから、私は、彼女にはいろんな世界を知って欲しかった。
お金のために仕事をするのではなく、やりがいや楽しさを感じながら仕事をして欲しかった。

でも、その考えが、モラハラ気質で、彼女を傷つけていたんだろうな……

カミングアウト

少し映画のネタバレがあります。




劇中で、浩輔が、母親にカミングアウトをしていない竜太の家に行き、竜太の母親と団欒のひとときを過ごすシーンがあります。
そこで、竜太の母親は、浩輔に「結婚してるの?彼女は?」などと聞き、浩輔が「いないんです。欲しいなと思ってるんですけど(笑)」と答えます。


私も家族に言えない
彼女は、家族にカミングアウト済で、私のことも恋人だと紹介してくれていました。
でも、私は、友達としてしか、紹介できませんでした。

彼女は、それでも良いと言ってくれていました。
唯一、私の姉に、付き合っていることがバレたのですが、「(彼女)ちゃんが、妹になるかもしれないってこと?嬉しい!」と言ってくれました。

それを、彼女に伝えると
今まで付き合ってた彼女には、家族に隠される存在だったから、なんか……変な感じ…😳」
と、喜んでいました。

本当は、恋人だと言って欲しかったんだろうな……。

私の両親が、彼女に「彼氏おらんの?」「いくみと結婚してくれるような男はおるんだろうか」と話す度、本当に本当に辛かった。

価値観を合わせること、彼女と対等であろうとすること、それが私にはできませんでした。
私がうつ病で苦しいとき、たくさん支えてもらったのに、何も恩返しできなかった。
本当に申し訳ない。

私は、彼女と別れてしまったけれど、同性婚を反対する人や、ホモフォビアの人に言いたいのは、大切な人を、家族に紹介できない辛さが、あなたには分かりますか?

私の夢は、スウェーデンに移住することです。
日本では、私は一生、大切な人を大切な人たちに紹介できないと思うからです。

『エゴイスト』では、恋人なのに、街中で手を繋げない、家族に本当の自分を話せない、日本での同性愛者の苦悩がリアルに描かれているなぁと感じました。
共感できるところが沢山あり、終始涙が止まりませんでした。

また大切な人と巡り会えますように

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