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中高年の居場所について

【居場所運営と私たち中高年〜派生で考えたこと】
居場所運営をしていると、中高年層の人々が積極的に関与を望む場面が見られるが、特に子どもや若者のための居場所では、彼らの関与がむしろ阻害的な要因となる場合がある。中高年が自らの話や支援欲求を過剰に持ち込むことは、若者にとって居心地の悪さを生む要因となり得る。

これは、中高年以後の「居場所」が社会において不足しているという点も課題として浮き彫りになる。我々も行政も子どもや若者向けの居場所に対しては一定の対応を示すが、中高年層のための場所が限定的である。これが、彼らが若者の場に参加し過ぎる理由の一つであり、より適切な中高年向けの居場所の設置が求められる。

従来、仕事や家族の役割において社会的に存在感を持っていた中高年が、引退や家庭の変化により自己の居場所を見失うことが多い。特に、現代の社会では、若者や子ども向けの居場所の整備が進んでいる一方で、中高年向けのコミュニティや支援の場が十分に提供されていない。

このギャップが、中高年が他世代の空間に無意識に関与してしまう要因の一つであり、これに対応するためには、中高年自身が自己表現や社会参加を行える新たな「居場所」が必要である。既存のセミナーやカルチャー教室といった作られたフレームでは、不足しているのである。

そして、観測値に留まるのだけれど、こうした若者の場にお越しになる中高年〜高齢者は、男性より女性のほうが多い。子育てが終わった方、離婚された方、家にいたくない方など、様々な女性にである。メンズリブだけでは回収しきれない性差を問わない問題と考えている。

人は常に所属と、それによる充足感を求める。ただし、それが主我となりすぎると、相手の領域を犯すことになる。境界線という言葉は哀しいけれども、お互いが気持ちよく生きていくひとつの方法なのだと思う。

現場から現代社会を思考する/コミュニティソーシャルワーカー(社会福祉士|精神保健福祉士)/地域の組織づくりや再生が生業/実践地域:東京-岐阜/領域:地方自治|政治|若者|子ども|虐待|地域福祉|生活困窮|学校|LGBTQ