【ひとりごと②】叶わない未来のほうが、いつも美しい
「好きな映画は?」と聞かれたら、『タイタニック』『レ・ミゼラブル』『ラ・ラ・ランド』と答える。どれも世界的にメジャーなヒット作で、我ながら「特に、もの珍しさもないラインナップだな」と思う。
3作品には共通点がある。いずれも、最後が回想シーンで終わるのだ。
それも、この回想で見せられるのは「叶わない未来」。ジャックとローズが再会する日は二度とこないし、フランス国旗を掲げて歌う青年たちは、既に息絶えている。互いに夢を叶えたミアとセブもまた、現実では別々の道を歩んでいく。
この切なくて幸せな描写が、たまらなく好きだ。実際には起きていないのだから、回想というより、幻想。私は、そんな「叶わない未来フェチ」なのだと気づいた。
「どうして、あんなことしたんだろう」「もっと別の方法があったのかも」
過去の自分の選択に後悔する瞬間がある。そして、進まなかったほうの先のストーリーを妄想して、しまいには過去まで脚色しだすから、タチが悪い。
叶わない未来は、いつだって美しい。
その存在が、ときに自分を息苦しくさせることを知っている。それでも、往生際の悪い私のような人間は、都合のよい幻想をなかなか手放すことができない。
この前、会社の先輩がふとこぼした言葉がとても印象的だった。
「よく人は『あのとき、ああしていれば』っていうけど、それはないと思う。すべてのことは、なるべくしてなった。私はそう思うことにしている」
選ばなかったほうの未来なんて、そもそも存在しない。
そう思えるのは、きっと今が最良の結果だと納得できているからだよね。先輩の生きてきた道が、なんだか羨ましくなったり。
一方で、「叶わない未来」が平凡な人生をほんの少し、ドラマチックにしているようにも思う。
さっきの3作品も、やっぱりラスト・シーンがすごく大事で。幻想のスパイスがあるからこそ、名作になったんだと思う。
個人的には、毎日が必ずしもハッピーでなくてもいいのかな、と思っている。自分のキャパシティを超えない程度に、喜怒哀楽の浮き沈みを受け入れながら、
なるべくドラマの中を生きていたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 今後も、よい記事を出せるようにがんばります。