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ペネロペ・クルスに似た女(3)

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   タイ料理が憂鬱すぎてうんざりしながらジョニーウォーカー黒をロックで飲んでいるとミリヤから電話が来た。彼女はいつも電話だ、メールだとレスポンスが悪いのが苦手らしい。
「来週の土曜日でどう? 他の女の子達シフト制だからなかなかスケジュール合わなくて大変だったよ。次は大分先になっちゃうから頼むよ!」
大学時代の友達2人に連絡した。メンバーは揃えたので良さそうなお店を探しておくか。楽しみだ!

   そして金曜日を迎えた。朝から憂鬱だ。今日は帰れなくなる様なヘビーな仕事が振ってこないかと思うくらいだ。仕事というのはこう言うときにはこうならない、早く帰りたいときに限って急ぎの仕事を頼まれたりするもんだ。何事無く仕事は終わってしまった。

   仕方なく恵比寿へ向かう。ミエはニコニコして待っていた。それなりに美人でお洒落に気を使っているとは思うが、どこかに世代の差というか古くささを感じるところはある。それが年齢なのか音大からピアノ教師と言う、俺とは全く違う世界から来る物なのか全く分からない。学生時代は貧乏学生の巣窟の様な場所だったからな…
「タイ料理あんまり好きじゃないんだよね。私が選んであげるね」と色々頼み始めた。どうにでもなれという気持ちで頼むのを見ていた。とりあえずメニューのビールのところを見た。なんだか色々あるがシンハーはロゴを見たこと有るが良く分からないのでシンハービールを頼んだ。食べ物は色々来るはずだ……

   特技なのか分からないが大抵の物は嫌いでもその場では食べられる、トムヤムクンとか海老の甘辛く炒めたヤツとか来た…… 生春巻は女神に見えた。なんとかそれなりに食べた。海老も好きだよ、エビチリも好きだよ。でも、タイ料理になるとどうにもダメなんだ。分かって貰えるだろうか……   最後にタイ風チャーハンみたいなのも来た。これはまだ平気だがやっぱり何かが違う。
   デザートはこの店で頼まずに、店を出て近くのカフェに入った。ミエは美味しかったと楽しそうだ… 俺は全然ダメだったが、とても不味いと言える空気ではない。それとなく話を合わせては居たがかなり辛かった。
   
   さて帰ろう…
   
   それぞれ分かれて帰った。帰りにバーに行こうと思い帰りの電車に乗った。どうにもそうさせてくれなかった…   電車に乗った辺りから酷い腹痛だ。停車したところでトイレに入った。二度ほど停車してトイレに入ったところで終電がなくなった。ここで降りたら終電を逃すことは分かっていたが乗りつづける訳にもいかなかった。幸い、急行で二駅と言ったところだ。ただとても歩けない。金曜日と言うこともあってタクシーも並んでいる。仕方ない。30分ほど待ちタクシーに乗り家に直行した。明日、正確には日が変わっているので今日は合コンなんだ……   腹が痛い状況で合コンなんて楽しめる訳はない。その日はミエにお礼のメールは送り目覚ましも掛けずに寝た。

   珍しく昼過ぎに起きた。腹痛は問題ない、合コンには支障はない。きっと唐辛子を取り過ぎたのか、あまり好きな食べ物ではないのでちゃんと噛まずにビールで流し込んだからだろう。外に出られそうな短パンとTシャツに着替え、コーヒーメーカーをセットしてパンを買いに行こう。買いに行くと言っても家の目の前のなのでコーヒーメーカーをセットしていくと帰った頃にちょうど良くコーヒーが出来ている。クロワッサンとくるみとイチジクのパンをチョイス、クリームチーズと食べたら美味しそうだ。クリームチーズを冷蔵庫から出し食べながら、今日のメンバーに確認のメールを送った。

『昨日は楽しかったです! また、デートしてくださいね。美味しいもの食べたし元気いっぱいで子供のレッスンをします♪ 今日はなにしてるのかな?』
とミエからメールが来ていた。
さすがの俺でも今日は合コンですと送っちゃいけないことは分かっていた。学生時代の友達と飲み会と送っておいた。

   さて、合コンに出発するか。男の一人マサヨシは久しぶりなんで合コンじゃ大して話せないから作戦会議も兼ねて少し前に待ち合わせて軽く飲もうと話していた。合コンは渋谷の道玄坂に有る地下の創作居酒屋だ。マサヨシとは渋谷の東急本店辺りで待ち合わせることにした。HUBにでも行こうかと思ったが飲み過ぎるのもどうかと思いセガフレードに入って、それぞれイタリアの瓶ビール頼み卒業後の話などをしていた。もう一人の男、伊東はギリギリになると言ってたが早く来れたようで合流した。
「久しぶりだな。お前らなんでコーヒー屋でビール飲んでんの? ここはイタリア正統派の店なんだからエスプレッソかカプチーノだろ」伊東は正統派の男だ。相変わらず変わらないなと思いながら一人だけコーヒー飲んでる伊東がなんか笑えてきた。
「お前と一緒に合コンすると良いよな。必ず性格悪い美人か一番不人気そうなところをフルスイングじゃん」
バレたか…… 合コン行ったら何とかしたいのでそうなるとはとても言えなかったので笑ってごまかした。

   時間なので移動した。俺らは五分くらい前に到着して座ってオーダーは揃ってからにして貰うことにした。
   あるあるなのだが合コンは必ず男は少し早く揃って女性は5-10分遅れてくるというのは決まり事なのだろうか……
酷いと20分も待つことになって時間がもったいないといつも思っている。
  女性チームも到着した。俺の友達のミリヤとあい、みほの三人だ。ミリヤ以外の二人は羽田の地上職らしい。あいは和風の顔の少しぽっちゃり。みほは背も高くて濃い外国人顔の美人だった。乾杯、自己紹介から始まり所謂普通の合コンで楽しかった。二次会はあいがボーリングをしたいと言うので二次会はボーリングになった。とても健全な合コンだ。高校の同級生がいるせいかそうなったんだと思う。それはともあれ楽しくてみんなずっとげらげら笑っていた。良い1日だった。
   気を使わずに笑って過ごせると言うのは良いもんだと当たり前のことを実感できた合コンだった。誰かと付き合いたいという気持ちもなくまた遊びに行くのが楽しそうだなというのが正直な感想では有った。
   その日は俺がまとめて男全員分のメールアドレスをミリヤに渡して解散した。

つづく

通勤時間の電車で書いております!今のところすべてiPhoneで書いているので親指が折れそうなのでサポートしていただくけるとコンパクトなノートパソコンを買って書けるようになります!