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【短編小説】ありきたりな書き出しから始まる10代の病魔
教室の窓辺に足を投げ出し、青空を眺めていた。数学の授業はつまらない。関数のグラフなど目にも止まらない。
「この程度の数式には解けやしない、俺の中の孤独が。」
そう言って窓の外を見つめる。空はいつもと変わらぬ青色をしている。でも微妙に違うのだ。少しずつ変化している。しかしそれに気づく者は誰もいない。
授業が終わり、友達と歩道橋を渡っている。橋の上から見下ろす街は、いつもと同じ風景。でも何かが違う。友達の会話もいつもの延長線上に聞こえる。
「俺は、ここにいないのかもしれない。誰にも分からないまま、この世のどこかへ飛んでいったのかもしれない。」
そう思うと、胸の奥底にしみる寂しさを感じる。友達には決して分からない、この切なさ。空を見上げる。雲の向こうに、自分の居場所があるのだろうか。
帰り道、いつものコンビニに寄った。レジのお姉さんはいつもの明るい表情で言った。
「いつもの?」
「はい」
いつも通りのやり取りだ。でもなぜか、胸が痛む。本当はこの世界のどこか違う場所に、自分は居るはずなのに。そんな気がした。
部屋に戻り、ベッドに寝そべった。眠れない。いつもと同じ日常なのに、なぜこんなに寂しいのだろう。自分がいるはずの場所を、探しているような気がした。
「まるで、サインカーブのようだ。上昇しては下降、下降しては上昇。でもその周期は、誰にも分からない。」
そうつぶやき、眠りに落ちた。
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