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短歌の本みたいな人に

 最近短歌にハマっている。この前友人にオススメしたら、「575で読む練習しな」。言うなら57577だし、詠むだし。
 57577の世界はきれいで、音楽をつけずに枕元で歌本を読む。不安な気持ち、もやもやがすっきりと晴れ渡る。素人の方でも心動く歌が多々あって。どんな生き方しているんだろう、と日常をのぞきたくなったり。
 最近の目標は「短歌の本みたいな人になる」こと。先の友人には「いいね、57577で会話しなよ」と言われた。ちがう、そうじゃない。

人とひと
 友人、恋人、会社の人。このご時世だからこそ会えたら嬉しいし、犬みたいに話しかけに行ってしまう。忘年会、新年会、電話、土日。特に年末年始は自分の好きな人たちとたくさん会えた。社会人初めての5連休をフルに満喫した。
 人に対しては、とりわけ自分にないものを相手が持っているとたまらなく魅力的に思える。趣味は多い方だけど、元々は少ない方だった。
 魅力的な人がいたらどうにかして会話したくて、その人の趣味に寄せていったり。専門知識を身に付けたり。大学時代に趣味が格段に増えたのも、大学やバイト先で魅力的な人が沢山いたからだろう。
 「短歌の本みたいな人だな」と過去に思ったことが一度だけある。頭が良くて、紡ぐ言葉の一つ一つが心に馴染む。言い回しとボキャブラリーが豊富で、自分の芯がはっきりとあって夢がある。
 全てが敵わない、その人なら短歌の本を貸そうと思ったし、貸した本の中から好きな短歌をメモして見せてくれた。人間的な魅力が詰まっている人だった。

きれい事
 本当の事を言ったら人に嫌われるかもしれなくて、相手に合わせてしまうことがすごく多い。
 「きむがきむらしくいるための選択をしろ」って友人は言ってくれるけど結局程遠い選択をしてしまう。
 人は完璧じゃなくて、どうしても苦手なことがある。人に完璧を求めすぎると必ず亀裂が入るし、短所を「その人らしさ」として包み込めるような人間。それが「短歌の本みたいな人」なんじゃないかと思う。

 嫌われたくないあまりに人の事を悪く言うのが苦手だけど、人間関係で弱音を漏らした時に、「筆者のために他人を怒ってくれる人」がいる。
 自分の中では胸がすくし、その感覚はまるで短歌の本を読んでいる時のよう。周りに模範がいることも目標を持った一つの理由だ。
 代わりに怒ってくれる人に巡り会えてから、信頼してる人には自分が言われて感じたことを、ほんの少しだけ言えるようになってきた。
 友人と電話で「あーでもない、こーでもない」を話すときは、お互いのだめなところを言い合って、互いに傷を舐めあい自己肯定感を上げることに勤しんでる。
 だが、同じ悩みはいつだってなく、「俺たち意外と乗り越えてる??笑」となる。今悩んでる大きな悩みだって、1年間悩むような悩みなんてのはたいして存在しないのかもしれない。

短歌の本
 いざという時に人の気持ちに寄り添って、落ち着く手放せない存在。大勢に理解はされずとも、一人が手に取って心ゆくまで大事にしたい。自分にとっては歌本はそんな存在だ。歌人さんに聞いたことがあるけど、一句一句を作り上げるのは本当にエネルギーがいるらしくて。
 その人らしさが出た僅か十数の句が、すごく愛おしくなる。中身に惹かれていくような感じが好きで。人に対しても趣味に対しても、興味の熱が冷めにくくなったのも、短歌が心を繋ぎ止めてくれているのかもしれない。

10年後20年後と大切にされる短歌を自分に重ね

 短歌の熱を胸に収めて過ごしていきたい。

 最後に、好きな歌を3選

①3、2、1、ぱちんでぜんぶ忘れるよって今のは説明だから泣くなよ
岡本真帆
②その癖のほんとの主を知ったときあなたに過去のあることを知る
③ さわらせてくれるあなたがいる日々に100年たっても馴れたりしない
伊藤紺

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