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変な島、カモテス。

昨年2023年の5月、フィリピン セブ諸島の一つ、カモテス島に赴いた。
付き合いの長い友人が「観光地じゃないよくわからない島にボーッとしに行く」と言うので便乗したのだ。彼女は長期滞在であったが私は4日間のみのため彼女の滞在の途中で現地集合・解散とした。

マニラ乗換であったが遅延のため予定通り乗り換えできず、海外の空港の恐ろしさを味わい、時間は大幅に過ぎたものの無事セブに到着。しかしカモテスへはフェリーでしか行けないため、フェリー乗り場近くのホテルに宿泊し翌朝フェリーに乗ることに。
その前日、フェリーのトラブルにより友人がフェリー乗り場で5時間待機させられるという恐怖体験を聞いていた為ヒヤヒヤしながら向かったが、その日は何事もなくスムーズに乗船することが出来た。
その前にマクドナルドでコーヒーを購入したがブラックを注文したのに甘い、そしてサイズが異常にでかい。海外での悩みといえば無糖の文化がない国が多すぎる。今まで行った国でコーヒーや紅茶が無糖だったことは片手で数えるほどもない。甘ったるいコーヒーを片手にいざ乗船。

微妙な曇り。
それなりに揺れる船。
電車の車内販売のようなお菓子売り場があった。スナックやカップラーメンと其れ用のケトルがあるだけで、店員は売り場のベンチで寝転んでいて「用があったら起こして」というスタンスであり、私は「ああ、こういうのを見たくてフィリピンに来たんだ」と胸が躍った。

カモテスに到着すると驚くほど寂れていた。
フェリー乗り場からホテル街までは離れており、その辺りのバイクドライバーやトゥクトゥクのようなバイクに客席がついた乗り物を利用して向かうのが当たり前な様だが、疲労よりも好奇心を優先して私は歩いた。

この時間が一番カモテスを肌で、目で、鼻で実感できた。

微妙な曇りだがジメジメしていてうっすら汗をかく。
草木ばかりで獣道のような道を行くと点々と家がある。この島にも住所とか、私有地とか、そういったものはあるのだろうかと考えてしまうほど野生的な土地である。
手作りのような木材とトタンと布で出来た家も数多くあり、それまた手作りのようなハンモックで寝ている住民も複数見かけた。
そして視線を感じたと思い目をやれば突然牛や山羊がいる。
その辺りにしれっとマンゴーやバナナの木がある。
見たことのない鳥が横切る。
私は「来たぞ、カモテスに!」と叫びたくなるほど嬉しかった。


たまにその細道で「乗るかい?」と声をかけてくれるバイクに乗った住民もいたが、誰一人ヘルメットなど着用していなかった。
「いや、私は歩きたいので」と返すと笑顔で手を振って消えていく。
こんな異常な光景をバイクで突っ走ってしまうなんて勿体無い。

途中電波が繋がるエリアがあったので、日本にいる家族や友人に写真を送った。「ドンキーコングGBみたいなところに来てしまった」と添えて。

なんとかホテルに到着し友人と合流。
海沿いのホテルでプールがついており、そのプールサイドから続く階段で海まで降りられる。気分によってプールでぼーっとしたり、海で揺られてみたり、疲れたら浜辺にある海の家のようなテント式のレストランで食事をする。
レストランでは放し飼いされた犬が何頭かいて、匂いを嗅ぎつけて寄ってきたり隣の椅子に座ってきたりなどする。可愛い。
しかしフィリピン料理というものは甘辛のスイートチリのような味付けが殆どで、犬の体には合わないだろうと思い、その潤った視線に耐えながら食事をしたのであった。




また、近所のお祭りがホテル街の近くであった。それなりに広いステージがあり、毎日爆音のEDMが流れていたが、なぜか誰も踊っていない…。
そしてある日遂にそこでダンスの発表会があり、人だかりができていた。このカモテスの島民の殆どが集合したのではないかと思うほどの。
町内会のアットホーム感万歳の社交ダンス…のステージにたくさんの野良犬が乱入!
それが日常なのか、誰も気にしない!!

良いぞ、良いぞ、もっとやれ、カモテス!!

そんなただなんでもないようで異常なそんな日を過ごし、心惜しくも帰国。

とても好きな島になったのでカモテスと書かれたTシャツを購入した。
パジャマが一着増えた。



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