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  • 「アラビアの夜の種族」を推理する

    古川日出男 著「アラビアの夜の種族」を読んだことのある方は、本書が推理・SFの部門で受賞している事を不思議に思われるかも知れません。 実際、本書は非常に質の高いダークファンタジーとして成立しています。 しかし良く読み込んでみれば、書の中に巧妙に隠された幾つもの謎に気付くことが出来るでしょう。そしてこれらの謎を解かない限り、物語を真に理解した事にはならないのです。 この記事は、私がアラビアの夜の種族を推理小説として読み解いた過程を記録したものです。 少しでもご興味のある方、ご一緒に物語の真実に迫ってみませんか?

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「アラビアの夜の種族」を推理する(その③)

前回の記事はこちら↓↓ ~前回のまとめ~ ・アーダムは魔女神官の息子で、彼女によって王宮に置き去りにされた「妖精の取り換え子」と予想 ・アーダムと取り換えられた赤子はファラー/サフィアーン/アイユーブの内の誰かではないか? ・ゾハルの石室は単に夢を見せるだけではなく、夢を通じて運命を変えることをも可能にするのでは? 今回は、上記の考察を発展させて、登場キャラどうしの関係について考えて行きたいと思います。 3キャラクターどうしの関係 ~アーダムは誰と取り換えられた

    • 「アラビアの夜の種族」を推理する(その①補足 アーダム×ジンニーアについて)

      考察その①では、ジンニーアはアーダムを愛していなかったとは言い切れないと述べました。 1補足 アーダム愛され説 私の考察がどの程度正解かは分かりませんが、もし予想通りだとすれば物語は根底から覆ってしまうと思います。 これまでジンニーアは人間をアリのようにあしらい、用済みになった男をあっさり惨殺する冷酷な邪神だと考えていましたが、アーダムが彼女を愛したように彼女もアーダムを愛していたとすれば見方も変わって来ます。 1巻のラスト、ジンニーアの姦計を見破ったアーダムがジンニ

      • 「アラビアの夜の種族」を推理する (その②)

        前回、アラ夜の中の主にジンニーアについて推理しました。(※詳細は上の「その①」というリンクからご覧ください) 前回は、「ジンニーア=メリュジーヌ説」と「アーダムは実はジンニーアに愛されてた説」を提唱(?)しました笑 しかし一方で、新たな謎も生まれてしまいました。 ~推理その①で残った謎~ ・ジンニーアがフランスのメリュジーヌなら、なぜ上エジプトにいる? ・ジンニーア=メリュジーヌなら、彼女は王族であるアーダム/サフィアーンと血縁関係があるかも知れないが、作中で血縁関

        • 「アラビアの夜の種族」を推理する(その①)

          ついったの方でアラ夜について推理してきましたが、推理の結論しか文章にしておらず、推理の過程をすっ飛ばしていたので傍目からは意味不明だったと思います。ごめんなさい( ;´・ω・`) ちゃんと推理の過程を提示しますので、良ければ見てやって下さい。 そして矛盾等あればご指摘オナシャス それではレッツゴー 1ジンニーアについて ~ジンニーアの正体~ アラ夜が推理モノだと気付いたきっかけは、邪神ジンニーアです。 私は少し前、創作のネタ集めのために人魚について調べていたのですが

        「アラビアの夜の種族」を推理する(その③)

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          四行詩練習

          『嘗て祖先の魂に準えられた星々 今もなお天上に輝き 夜空を仰ぐ現代を生きる我は 自らが真に星々の裔と知る者』 『女たちは嵐を呼ぶ 邪な亡霊と恩知らずな男たちを家に閉じ込めるために そうして裸で表に走り出て、土砂降りの雨の下踊り狂う この世の全てを笑い飛ばしながら』 『世界の数は一つではない その数は命の総数に同じ 君の世界で暖炉の火とはすぐ側に燃えるもの 僕の世界では同じ火が天の星ほど遠くに見えるよ!』 『叶うなら太陽を消して 世界を凍結して 笑顔のまま時を止めてしまい

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