歌手←アイドル→タレント

かつては「アイドル歌手」と言っていたくらいアイドルは歌手だったんだよなと最近ハローのグループを沢山見ていて思い出した。

元を辿ればモーニングも「女性ロックボーカリストオーディション」から始まっているので「歌」が中心で作られていたと言える。歌手が複数人集まってできたボーカルグループ。ただ若かったことやビジュアルが良かったこと、もちろん歌も上手いことなどいろんな要素が重なり「アイドル的」な存在になった後、ダンスも強化して今現在の「歌って踊ること=アイドル」という枠に意味的には収まっているように思う。

もちろんジャニーズのような男性アイドルではダンスボーカルグループは存在していたしSPEEDやMAXなどの流れもありダンスもやっちゃうのは自然だったように思う。

現在のハローももちろんさまざまな個性的なメンバーは在籍しているが、基本的に「歌手」というベースは残ったまま、ダンスと歌を頑張れば評価される希少な世界を作り上げて今日に至っているように思う。

対してAKBから坂道、もっと言えばおニャン子は「タレント」ベースと言える。いわゆる俳優が歌を出すようなイメージに近いと思う。

いわゆる歌手であれば曲が先にあり、「この曲を歌っているのはこんな人」という順序で世間に認知される。「こんな人」を明かさないことで歌のイメージを保つような人もたくさん。逆にラジオでは本音で話しファンを獲得する場合もあったように思う。

これがタレントベースだと「こんな人」を先に全て説明してから「この人がこんな曲出しました」と曲を宣伝する。あのドラマに出てた人、バラエティで活躍してる「こんな人」に共感や感情移入した状態で音楽を出されるので、推してる人ならなおさら曲自体の存在は知ることとなる。

もちろんここで感情移入しているため盲目的に音楽を聴き好きになるパターンと、タレントが歌ってるんだから大したことないと偏見で判断するパターンである。どちらを選んでも正常な状態(自分の判断で選択する)とは取ってもらえないだろう。どちらにせよ宣伝効果自体は抜群である。

この「タレント」の部分がおニャン子ではバラエティ、坂道ではモデルや女優など多種多様にわたる。だが基本的に「歌手」がベースではなく、ただ歌手ではないとは言い切れない(実際に歌って踊っている)この状態こそが「アイドル」なのではとも最近は思う。(そこが舐めらがちなポイントにも思える。)

近年坂道が成功している背景には冠番組があることが大きい。ここで個人やグループのタレント性を知ってもらうことで効率よく宣伝することができていることが大きいと思われる。個人を売ってから曲を売る、結果は同じだとしてこの順序に納得できるかどうかは人それぞれだと思う。

よくよくモーニングが売れてた時期のことを考えると、一番に思いつくのが「うたばん」である。奇しくも石橋貴明が出ていることもだが、メンバーをいじることでタレントとして自然と売り出す構図ができていたことや冠番組ではないがリリースペースが早くほぼレギュラーのように出ていたことなどおニャン子のあのシステムとほぼ同じ売り出し方になっていたように思う。実際にリアルタイムで欠かさず見ていたことを覚えている。

つまりモーニングが世間的にヒットしなくなったように見えるのは、うたばん終了と共にそうした「タレント性の露出」が世間的に減ったためであり、あの当時偶然"秋元式の売り出し方"になぜか乗り掛かっていただけの話にも思えてきた。いろんな偶然の産物だったように思うし、現在しっかりと成り立っているハローにとってもう必要のない偶然なのかもしれない。

タレントファーストな世の中でも昔から変わることなくシンガーファーストでありつづけ「音楽」を作り続けているハロー。ますます宝塚のような最高で最強なエンタメの永久機関であり続けるのは明白であり、歌とダンスという評価基準が存在する世界をいつまでも守っていってほしいなとも思う。

とは言いつつも「魅力」はそのほかにも存在するので、タレント性が評価されることもアリだと思う。ただ「実力」が蔑ろにされるのも違うなとも思うので、その辺平等になればいいなと思ったり思わなかったり。

時代が変わればいずれ見つかるよな、とも思う今日この頃。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?