「前世は兎」吉村萬壱

新幹線で読もうと電子書籍で購入 8割読んだけどギブアップかも 私にはトラウマ案件だった 短編集で一つめの前世は兎はとても楽しく読めた 兎の本能そのままに生きていく主人公の爽快さと 兎目線で語られるこの世の滑稽さ、ラストのシュールさがとても好きだった

続くストレスから全裸で通販カタログの写経をする女教師の話と 明らかに有害な沼に浸かりおかしくなっていく男女の話がきつかった この奇行とそれによってもたらされるおぞましさ、洗っても臭うような不快感みたいな物は 「知っている感じ」だからいけなかった あの嫌な感じはうちの実家の空気だ

哀しいかなその不快感さえ私にとっては懐かしい家庭の記憶で 不穏な物に安心してしまうので 結局倒錯した作品にたどり着くのだけど この二つの短編はダイレクトに母の奇行盛り合わせみたいな内容で フラバで読んでて倒れそうになる 壮絶な読書体験だった でも読み始めたら止められない

書いてて気付いたけど 私の世間とずれた生きずらさって 今よく言う毒親系だと思ってたんだけど 少し種類が違うのかもしれない 愛してもらえなかった云々より 母の奇行に対しての得体のしれない恐ろしさやおぞましさ汚らわしさへの嫌悪が強い 傷ついたとかじゃなくもっと生理的な嫌な感じ

人への執着が薄いのは 私があの嫌な感じの化物になって誰かに迷惑をかけたくないからだ 子供を産みたくないのは この血筋をここで終わらせたいからだ 自殺を考えた事は無いが あの家庭から脱出してからの今までは我ながら上出来でもう人生満足な感じはしている


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