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若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録(読書メモ)

グローバルに挑戦することの重要性を説いた1冊です。

本書は、シンガポールを拠点にアジアで起業支援を行っている加藤順彦さんの講演録です。

これを読むまで著者についてはまったく知らなかったのですが、堀江さんの帯コメントや田中泰延さんの解説に惹かれて購入したところ、序盤からストレートな熱い主張の連続で、あっという間に読破できました。

ということで、今回も印象に残った内容をピックアップします。

環境が人間を創る

個人的には「人や環境に依存せず、嫌なら自分で変えろ」ぐらいに考えてたりするのですが、最初に自分の基準を作るために良い意味で異常な環境に身を置くことは賛成です

長い間ずっと思っていることは、「環境が人間を創る」っていうこと。熱く生きていくためには、自分をすごく熱く異常にさせることがものすごく大事なんだ、ということです。そしてそれは、かなり環境に依存されていると思っています。
人間っていうのは環境の生き物なんで、「それが普通だ」とか、「そうなるべきだ」っていうふうに、環境に置かれてしまうと、だんだんそっちのほうが自分にとって「普通」になっていくんです。で、だんだん気持ちが良くなってくるんです。つまり、どんな場に自分がいるかっていうことなんです。
「普通」っていうのは、いわゆる社会の平均値ではなくて、どんな人と付き合っているか、どんな価値観の人の周りに居るかということが、自分にとっての「普通」になっていくんです。すなわち所属するコミュニティが自分自身を形成するということ、です。つまり本日は「普通の」閾値を上げてほしいって話なんです。

成長の尻馬に乗る

要するに"誰とやるか以上に何をどこでやるかが大事"ということです。自分もこれまで色んな事業に関わってきましたが、この考えには納得しかないです。

①What(産業、領域)

伸びている会社、すごく成長している会社というのは、今はインターネットがあるのでいろんなところで紹介されていますよね。  
そのほとんどすべてに共通しているのが、『産業全体が伸びている』という点です。
成長という点ですごく大事なのは「メガトレンドを意識すること」だと思います。
ベンチャーにとって、あるいは新しい商売をつくるという観点において大事なのは成長の尻馬に乗ることなんですね。  
皆さんが頑張ることではありません。伸びる業界を見つける、ということが一番大事。
既に業界団体があるような産業が、既にその業界の大手と呼ばれているような会社があるところに戦ってはいけないんだということを私は知ったわけです。
売上げが小さいということは、それだけで大手にとっては参入障壁になるわけです。だから、ここは私たちのようなベンチャーの独壇場になる可能性があると感じました。

②Where(国)

日本は今、どんどん老いていってるので、ブランドスイッチが起こりにくくなってきています。
(日本は)人口が9500万人になり、GDPも減ってしまうと、下位の会社ほど厳しくなるんです。  
つまり、ベンチャーやスタートアップが育ちにくくなってしまう、もちろん勝てることもありません。
〝イス取りゲーム〟は進んでいきますが、平等には進まないんです。
一方で、アジアはこれから〝イス〟が増えていくんですよ、しかもどんどんと。  
増えるとどんなチャンスがあるかと言うと、今 2社食えている業界が 3社食えるようになるんです。 4社食えてる業界が 5社食えるようになる。  
これがパイの増える社会、〝イス取りゲーム〟の〝イス〟が増える社会なんです。
その論拠というのは「 GDPが増えますよ」ということです。「 GDPが減る日本にいると、今は食えていても 5年後、 10年後には食えなくなりますよ」と。
また、「インドネシアやフィリピンやマレーシア、ベトナムやタイは、これから GDPが増え続けるわけですから、今はそこに出張ってなくても〝イス〟が増えるから御社はそこに座ればいいじゃないですか。なんで、手をこまねいて見てるんですか?」とも言ってます。
やっぱり今旬の ASEANやインドに出て行って、人口の伸びや GDPの伸びとともに、皆さん自身がぜひ成長の追い風に乗って「なるほど『成長の尻馬に乗る』というのは、こういうことだったのか」というのを体感してほしいです。

大局観を持つ

将棋でよく言われる『大局観』。優秀な経営者は限られた情報を正しく解釈する能力に長けてることが理解できました。ただ、これは本当に難しいです(笑)。

私はたくさんの起業家に投資していまして、8つの会社が上場しましたが、実に面白いことがあります。
8つの会社のうちの6つが、私が出資した段階の時の商売と、上場した時の商売が違うんですよ。
大事なのは『大局観』なんです。  
どういう大局観があって、何が変わらないものとして厳然としてある中で、あなた自身はそこに身を置いてどこを見ていますか、と。  
で、そのメガトレンドを正しく解釈していることと、その人が事業を通じてどんな価値を産もうとしているか、というのを見て投資しています。  
そこに納得できれば、商売そのものの内容がコロコロ変わることについては、さほど問題ではないと持っています。
その人の目線が正しければ、その目線のベクトルの中で、その違う商売に変えていくことに関しては、あとから見ればほんの誤差でしかなかった、ということがわかります。  
ですから、経営者、経営チームが非常に大事ですね。

まとめ

ざっくり本書を要約すると、

「日本国内は近い将来ジリ貧となるため、成長市場のアジア圏で勝負しろ」

というシンプルなメッセージですが、著者自身の経験を踏まえた内容には説得力十分でした。

起業や海外でのビジネス展開を検討している人におすすめです。

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