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誰かと食事をする時のこと。

誰かとご飯に行く時には、出来るだけちゃんとしたお店を選ぶようにしている。
ちゃんと、というのは立地は勿論値段やメニューといった総合的な意味でだ。

私がこういった姿勢であるのは、その時々の相手と過ごす時間へのリスペクトを、ささやかに表したいという思いからである。

以前ある人に
「食事の場所を飾ることでしか、あなたは人を楽しませることが出来ないのか?」
と言われたことがある。

確かに私の姿勢が、無意味で見栄っ張りな贅沢や、格好つけに見えている時もあるというのもやむを得ない。
もしくは、場所に関わらず楽しい時間を作ることが相手へのリスペクト表現だと、その人は考えているのかもしれない。

それでも私としては、折角自分に会ってくれる人達を、いつでも行ける代わり映えのしない場所に連れていく気はない。
逆に、適当な場所で過ごしても良い相手だと思われているとしたら、私自身は寧ろ少し悲しくなってしまう。

自分と会う日にお洒落をしてくれたり、指折り楽しみにしてくれたりしているかもしれない…そんな相手の期待に私は応えたいし、期待をいい意味で裏切ってみたい、と思うのである。

それに、一緒に行ったお店が後に、その人のいきつけやオススメになったらとても嬉しい。
大切な人達に新しい世界をお裾分け出来たとしたら、それは私にとってこの上ない幸福だ。

私事だが、昔付き合っていた恋人は、選ぶお店と自身のスタイルが一致していない人だった。
素敵なディナータイムを用意してくれたことは嬉しかったものの、服装や、マナーはおおよそそぐわないところがあり、一緒にいて冷や冷やしたものだ。

そういった、相手のスタイルとの不一致を起こさぬよう、日頃から様々なカフェ、レストランに足を運ぶことは勿論、相手の好きな物事を何となくリサーチしておくようにしている。

私にとっては、
レストランや当日の服を選び、会って話して、次も会おうねと解散するまでが、相手との時間になる。
サッと会うその間だけが、その人との時間ではないのだ。

それに、ちゃんとしたレストランに一緒に行くことも、信頼がないうちは、中々難しいと私は思う。
この人とここに行きたい、そう思うからこそ私は相手と約束をするし、会うのが楽しみになる。

相手からお誘いがある時は、フッ軽魂ですっ飛んで行くけれど、その時も基本的にはラフすぎる格好は避けるようにしている。
類は友を呼ぶというから、素敵な相手の隣にいる私も、しっかりと素敵に見えていますように。そんな気持ちを込めて。

この私の姿勢は、自己満足といえば、それまでかもしれない。
それでも、スペシャルな場所で大切な人と過ごす時間に、私はいつも心からの乾杯を忘れずにいたい。


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