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6/16 脅迫が日常化した社会

もう忘れ始めている人が多いだろうけど、こんな事件があった。つい先週のことだ。

あいちトリエンナーレ(以下「あいトリ」)のことをふと思い出した。あいち宣言・プロトコルというのが発表されたのをご存知だろうか?

あいちトリエンナーレ2019の教訓を活かし、「表現の自由」を守り、育て、広げていく誓いとして、あいち宣言・プロトコルをここに宣言します。

冒頭上記のような書き出しから始まり、いかにして「表現の自由」を守っていくかについて書かれたものだ。ぜひ一度目を通してみて欲しい。

「あいトリ」においてもテロ予告や脅迫、そして電凸と呼ばれる苦情電話が殺到し何としてでも開催を阻止しようとする人たちが世の中に溢れた。電話が3,936件、FAX 393件、メール6,050件 合計10,379件 (2019年8月1日から8月31日までの件数)この数からも分かるように異常な状況だったように思う。詳しくはこの調査報告書に記載されている。あれだけのニュースになっても、誰もその後には興味が無いというのも恐ろしいよ。ちなみに今日は「あいトリ」について振り返りたいのではなく。

また脱線するけど、こんなニュースがあったのはご存知だろうか?

もはや笑い話か相当日本人愚かだなとしか言えないのだけど、コロナ禍の中で「株式会社コロナ」が風評被害を被った?ようだ。石油ストーブやヒーターで有名な企業だが、私も企業のジングルに馴染みのある会社だ。Twitterで大喜利をするように遊ぶのも良くないんだが、それを現実に持ち込んでやんや言ってしまう。子どもなら、そんな区別付けられないから尚更やってしまうと思うが、要らん想像力を働かせて余計なことをしてしまうのが現代の日本人らしい。

さて、電通への爆破予告に話を戻しましょう。

この爆破予告の話を友人に話したところ、「まぁ、よくある話なんじゃない?」と返されて面食らってしまった。実は当日6/7に渋谷区や世田谷区の学校にも爆発物を仕掛けたというメールがあったようだ。

友人も「(爆破予告はあくまでブラフだし、本気で爆破しようなんて思ってないんだから)よくある話だよ」と言ったまでで、おそらくそれは真実だろう。実際に電通は爆破されなかったし、学校も爆破されなかった。しかし、爆破予告が気軽にされ、それを当然のように見透かして何も無かったかのように振舞うのも変な話じゃないだろうか?狼少年。

それだけじゃない。株式会社コロナの社長が新聞広告に書いたように、自分が所属する組織に対して匿名の悪意や嫌がらせが向けられることの怖さというのがある。いまの世の中、正義と悪を明確に線引きして分けることは困難だ。正義は多様であり、個人の思想の領域に及んでしまうものだ。

ただこれだけは言える。電通は悪の組織ではない。正義の組織でもない。営利組織(企業)だ。ネットを見ているとクダラナイ陰謀論に結び付けたり、明らかに個人的な恨みを企業にぶつけている人が多いように思う。「これだから電通は」の「これだから」とは何だろう?政争の道具にして欲しくもないし、日々のストレスを発散するために石を投げる的にもして欲しくない。企業法人に人格は無いが、そこで働く人間には人格も感情もある。例えそれがふてぶてしいように見える企業のトップであってもだ。

根拠不明なツイートに踊らさせるよりも、どうせなら事実に基づいた取材でも検証でもすれば良い。爆破予告をして何かした気になっているのであれば、それはやはり違うと思う。


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