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12/23 新聞広告を考える

新聞広告はブランド力のあるダイレクト広告である。

これが私の新聞広告に対する認識です。

新聞広告は直接購読者のご自宅に届けられる稀有な媒体。実名も住所も把握しているなんてネット広告からしたらとても羨ましいことです。しかしながら、新聞広告というのは昨今人気がありません。

新聞広告

※日本新聞協会のデータをもとに筆者作成

そもそも、総広告費もそんなに伸びていなければ新聞広告に割かれるシェアも大きくありません。そんな中で年に一回、目を引く広告を打ったところでそれだけの人が新聞に関心を示すでしょうか?

Newspicksの記事にこのようなものがありました。

Twitterはじめネット上で話題になったキャンペーンなのでご存じかと思います。どんな企画かというと、下記のサイトに分かりやすくまとまっていたので、こちらをご参照下さい

そもそもこの企画は「新聞広告の日」という一般読者の方からすると正直どうでもいい業界内でのイベントがあるのですが、その日に向けて作られた新聞広告でした。以前も、全広連(全国広告連盟)というこれまた業界団体があるのですが、この金沢大会において新しい取り組みがされました。何をしたかというと、新聞紙面にスマホ(専用アプリが必要)をかざすとAR(拡張現実)を活用した音楽ライブが視聴できるという取り組みでした。

新聞広告1

新聞広告2

新聞広告というのは、ちょいちょい新しい取り組みはやっているけれど、中々それが継続しない。その原因としては、クライアント側が単体で取り組むには非常にコストが掛かるというのが大きいだろう。昨今、広告の投資対効果を考えたとき、どういったユーザーが広告に接触したかというのが分からない媒体に何千万もの金額を割けない、そういった事情が大半だと思う。

GOさんが長期的な新聞広告のプロジェクトを立ち上げたようだが、こういう長期に渡る取り組みは歓迎すべきものだろう。

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ちなみに以前、自分でもこの記事について思うことを書いたのだが、新聞は比較的バズりやすい媒体であると思う。何故かって?それは多くの人、特に若い人にとって新聞がもはや特別な媒体になってしまったからだと思う。

普段ネットニュースを読んでいる人にとって、新聞を紙で読むこと自体が特別な経験になってしまっている。もはや、媒体(情報)を消費することすら、モノ消費ではなくコト消費の文脈に寄ってしまっているということだ。それは、他の記事でも触れたように、媒体がイベントへの参加チケットでしかなくなったということと大きく関係している。今回でいえば、「左ききのエレン企画」という世の中で話題の企画に参加する(SNSで発信したり、友達に話す等)ために朝日新聞を買う・読むということで、新聞が本来持っていたコンテンツの価値だったり、情報伝達の役割というのは今回に限っては極めて低いと言わざるを得ないだろう。

毎回思うのだけど

AKBグループはCDを握手券のためのおまけと割り切っている。堀江さんも本は堀江さんが考える企画に参加するためのチケットと割り切っている。朝日新聞は、新聞紙それ自体は企画を盛り上げるための単なるツール、という割り切りができるだろうか?

もし割り切れるというのであれば、紙で発行した新聞には情緒的な価値以外は何もなく、本当はネットニュースの方が効率的で良いのだけれど、ある特別なイベント時に限っては新聞紙が絶大な効果を発揮するんだよね、という風に考えているように思う。

しかしながら、新聞社はそんな風に割り切れてないと思うし、今後も割り切れないように思う。それは新聞業界は新聞社だけが単独で存在しているのではなくて、自動車産業の裾野が広いように、印刷会社、販売店、製紙会社など多くのプレイヤーが関わる一大産業であるからだ。

そういった業界構造において「紙は要らない」とは言えないのが新聞社にとっての実情だろう。つまり、今後数年も新聞社は規模(人員)は縮小せざるを得ないと思うが、会社自体は継続していくだろう。

変わろうとするのは誰か?

新聞社が「時代に合わせる」「読者が求めるものを提供する」と言ったときに、どれだけ本気でその言葉を発しているのか疑問に思うことがある。

新聞社が提供するニュースはネットニュースよりも信頼性が高いと言われている、少なくとも今は。もし、その前提が崩れるようなことがあれば、新聞は色々と割り切る必要が出てくるのだろう。それを外圧的に受けるのを待つのか、内発的に変えるのか、GO×朝日新聞の取り組みは外部の力を借りて内発的に変える折衷案的な取り組みとなるのだろうが、これからどういう結果がもたらされるのか、業界の人間として注視していきたい。





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