「街で着れる」ユニホームにするために胸スポンサーを捨てました
カンボジア1部リーグのアンコールタイガーFCの加藤です。
先日、アクオレさんと企画制作した今季のユニホームを発表しました。
コンセプトは「街で着れる」。
スポーツビジネス視点を持っている方が、すぐ目につくポイントとしては、胸スポンサー枠を捨てたの??です。
はい、捨てました。
ここに至った背景としては、
①タイガーブランドを活用したビジネスを展開を見据えて
カンボジアではサッカービジネスだけだと黒字は難しい。
今後の方針として、タイガーブランドを使ったサッカー以外の事業を展開し、収益化すると決めました。(ここは深いのでまたどこかで)
それにより、経営の中でブランディングの優先順位を上げました。
サッカー以外の事業展開を志向するので、様々な活動においても
「スタジアムから街中へ」を意識しています。
今回のユニホームもその中の一環で、まだブランド価値が高くない中で、マネタイズに走るよりも、今は街でいっぱい着てもらってブランド力を高めることを選択しました。
※継続したスポンサー企業と考え方が合えば、それをおしゃれなデザインに落とし込んでいくことなどの両立も可能だとは思っています
②新規ファンの獲得に向けた若年層(特に女性)への認知向上
タイガーは昨年、「最もファンが多いクラブ」として表彰されました。
とはいえ、2018年は平均観客数は1900人。
No.1とはいえ、まだ伸びる可能性は沢山あります。
2018年に集客数の伸び悩みを感じ、スタジアム調査(無作為でN=100)をしてみたら、シーズン3試合以上来場者はなんと90%、、、
これは、歴史のあるクラブでスタジアムも常に満員という状態なら良いのですが、クラブの歴史は4年。本格移転してまだ5か月。
コアファン90%というのは、サッカー好きしか観に来ていない、という危機的状況でした。でも、コアファンの人たちには本当に感謝しています。
そんな中で、サッカー好き以外の方にアプローチをする方法の一つとして、ユニホームがありました。
ユニホームについては、以前女性のJリーグサポの方が、
スタジアムに来て
ユニホームに着替えて、
試合終わったらまた脱いで帰る。
というので、理由を聞いたら、、
「だって、ダサくて恥ずかしいもん」
という発言が頭に残ってました。
当初は、なんとしても今のタイガーのユニホームを着ている人を街中で溢れさせて、オレンジ色にしてやる!みたいな傲慢な考え方があったのですが。
逆だな、と。
ユニホームを街中でかっこよく着てもらう。
それをみて、タイガーに興味を持って、
スタジアムに来てもらう。
だな、と。「街中でもオシャレとして着れる」ということを当初から要件として入れていました。
あと、面識はありませんが、河内一馬さんの下記の記事も考え方の中で大きく参考になりました。
そう考えた時にボトルネックになったのは、チームカラーのオレンジ。
何が問題なのか?アルビレックス新潟や大宮アルディージャがダメだというわけではないんです。
僕自身は今のユニホームも好きだし、かっこいいね、と言ってくれる人もいます。
でもそれは、スタジアムの中で男性選手が着るという前提の中です。
もちろん街中で着てくれているサッカー好きもいます。
じゃあ、なんでオレンジダメなの??
それは、オレンジは肌を黒く見えるので、カンボジア人(特に女性)は、
好まないのです。
カンボジア人は美しさの要素として、
肌の白さを大切にしていることは知っていたのですが、、
まさかオレンジ色がそこに影響していたとは、、、色って深い笑
そんなこんなで、「街で着れる」コンセプトを具現化する要素として、
●コーディネートがしやすいデザインに(絵型では上がユニ、下がジーンズのパターンなんかも出してもらいました。)
●既存のオレンジカラーにこだわらない
(でもアイデンティティ・継続性を考え、差し色としては入れたい)
●胸スポンサーは気にしなくてOK
あたりを考えていました。
ちょうどその頃に、日本のユニホームメーカーアクオレさんと出会いました。
アクオレさんはユニホームブランドとしての認知度はまだ高くないですが、
親会社がロンヨンジャパンという会社で沢山のスポーツブランドのOEMをしているので技術力は素晴らしく、何よりも自分たちの挑戦や目指す方向性に共感頂き、また現地の人に買ってもらうために、通常ではありえないようなこちらサイドの要望も飲んで頂けるということで、一緒に取り組ませて頂きました。
タイガー側のプロジェクトマネジメントは、木米が担当してくれましたが、
人員が多くない中では、彼のセンスが光りました。
実は途中で今回発表のユニの他にもう一つ案がありました。
個人的には2つ目が好きで、見た瞬間に「2つ目がかっこよくね?」というオーナーの気まぐれも、いつも木米が、
「アキさん、コンセプトは街で着れるですよ!2つ目のもいいですけど、コーディネート激ムズです」と立ち返らせてくれました笑。
見せ方もカンボジア人がファッションとして影響を受けやすい欧米の方をモデルに渋谷の街中やカフェで宣材写真を撮りました。
とまあ、企画・制作プロセスはこんな感じでカンボジア現地での反響は大きいのですが、実際に街で着てもらえなくては全く意味がありません。
プロモーションもしっかり仕込みたいと思ってます。
(現地の販売は2月下旬頃)
カンボジア現地では、ユニホーム販売でシーズンで300枚売っているクラブはほとんどないので、とりあえずユニホーム販売でも圧倒的なリーグレコードを叩き出したい、と思います。
(ブランド上、No.1、first ever はすごく大切なので)
また、日本ではクラブのサポートと合わせてクラウドファンディングをやる予定ですので、良いなと思ったらぜひ購入検討ください。
プロジェクトをメインで担当してくれた木米、
また、オーダー通り素晴らしいユニホームを制作してくれたアクオレさんありがとうございます。
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