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2021年の介護報酬改定の方向性をまとめてみました

こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。

2020年はコロナの話題一色に染まってしまい、4月に診療報酬改定があったなんて遠い昔のようですが、来年は3年に1度やってくる介護報酬改定の年。すでに、改定率は+0.7%(うち、感染症対策0.05%)ということが発表されましたが、主な業態について、以下に介護給付費分科会の資料をもとにまとめてみたので、noteのほうにあげておきたいと思います。

訪問介護、通所介護編

まず全体の特徴として、例年の「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化防止の推進」、「介護人材の確保・介護現場の革新」、「制度の安定性・持続可能性の確保」に優先して、”感染症や災害への対応力強化”が謳われました。

昨今の台風被害の甚大化や、今年のコロナの感染拡大を受けてのことですが、これによりBCP(事業継続計画)の策定などが、(その完成度は別にして)運営基準に求められてくる方向になっています。

訪問介護、通所介護ともにあまり大きな変化はなさそうですが、通所介護では入浴介助加算において、自宅での入浴についても貢献できる内容になっているのか、要は自立支援を意識したものになっているのかどうかで、報酬に濃淡がつきそうです。

介護イメージ


通所リハ、訪問看護編

各論の前にもうひとつ。これまでも事業者がICTを導入するに際しては一定の補助金が付されていましたが、次年度はこの補助金の額だけでなく、対象が拡大されることになりそうです。その背景は「人材不足」です。

私たちの事業所には、どんなIT関係であればより親和性が高いのか、生産性が上がるのか。現場サイドに立って負担の軽減を図っていくことが離職防止にも有効になりそうです。

各論では、通所リハビリでは、これまでの規模別、時間区分別といった報酬体系が、まずは希望する事業所から選択制として手上げし、将来的には順次「強化型」、「加算型」、「通常型」の3区分評価に変化していく可能性があります。通所リハと通所介護の違いを鮮明にしていくことが、より求められてきそうです。

訪問看護では、”人員に占める理学療法士等の割合”の厳格化がさらに進みます。これは、ある意味職業選択の自由を縛る制度ではないかと個人的には思うのですが、日本では制度の違いがあるので現状では仕方がないことなのかもしれません。

訪問看護師


居宅介護支援事業所、介護医療院、介護療養型医療施設編

ケアマネージャーさんが足りないという声を多く聞きます。そんなこともあり、今回の改定は概ね居宅介護支援事業所には優しい内容になっている印象があります。


介護医療院と介護療養型医療施設では、全体としてはすでに後者のほうが少数派になりつつあるようですが、まだ一定数が転換について足踏みをしているなかで、このあと3年にかけては、介護療養型医療施設にとっては、厳しい3年間になることが予想されます。地域の人口動態や医療体制等、また自院の体制等を加味して方向性を決めることが求められます。転換に際しては、補助金を活用することも有効ですから、自治体の補助金について調べることが賢明でしょう。

杖と椅子


介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)編

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年。見方を変えると多死社会の到来ということがあげられます。高齢化には地域差があり、すでにピークを過ぎたところもありますが、まだ多くの地域ではこれから高齢化のピークを迎えます。こうした背景から、地域では「看取りができる施設」が求められていて、看取り関係の加算が厚くなりそうです。

また老健では、より在宅復帰機能の強化が求められることになりそうですが、一方で在宅強化に取り組んでいる施設ほど、看取りへの取組みも進んでいる流れにあり、どちらの取組みも遅れている施設には厳しい改定となりそうです。

車椅子ミニチュア


おわりに

ここまで、超駆け足で2021年の介護報酬改定の方向性について紹介してきました。今回は普段私が編集を担当してるメルマガ「☆キラリと光る 病院マネジメントのヒント」で取り上げた内容を、カットなしで大放出していますが、よろしければ本体のメルマガにも登録をいただければ幸いです(登録は無料です)。

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医療や介護だけでなく、IT関連を除いたほぼ全産業が打撃を受けたコロナ禍の1年が終わろうとしています。迎える新年が、皆さまにとって良い年となりますよう.

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