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デジタルの理解に必要なこと

この記事は
【QUMZINEアドベントカレンダー2022】
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 デジタルって難しい。怖い。アナログのほうがわかりやすい。なんてことを良く耳にします。どうしてそういう反応になるのでしょうか?
 ということが今回のお話です。2022年の〆に、2023年のDX加速に繋がればとおもいます。

デジタルって特殊なものという幻想

 「デジタルって理解できないし難しい、何が起きるか分からなくて怖い。」なんてことを語られるテレビインタビューなどをよく見かけますが、本当にそうでしょうか?

 たとえば、皆様は家で電気やガスを使っています。その検針に使われているのはデジタル通信です。つまりは電気やガスを使う際にはデジタルを使うことが当たり前なのですが、このデジタル利用について「怖い」「難しい」なんて反応をすることはありません。
 なぜかというと誰かが行なっていた「検針」という作業をデジタルで「置き換えた」ものの、そのアナログからデジタルに変わったものの恩恵を受けている筈・・・なんですが、その事実を知らないため、「怖い」「難しい」とはならないのです。
 当然ですが、「うちの検針データが漏れたら情報漏洩だ」などということも言われませんし、そういうこと自体知らないので「怖い」とはならないのです。
 また、テレビもそうです。最近若年者は徐々にテレビを持たなくなってきていますが、ご年配のお宅では普通に使っているテレビ、このテレビ放送は今やデジタル放送しかありません。

 「テレビのデジタルは電源入れてチャネルを変えればすぐに映る」

 当たり前のことなのですが、デジタルって理解せずに使っている人が大多数で、実は身近にすでに当たり前に存在しているのです。

どんなデジタルが「難しい」のか。

 ではどんなデジタルが難しいのでしょうか。

 たとえばSNSを「難しい」「怖い」という方がおられます。
 よくわからない相手と会話する手段。何か色々言われる・・・
 でも、たとえば普段の会話で話したことも無い相手と話す場合、「同じ」反応になるのではないでしょうか?「デジタルだから」という事ではないのです。

 会議もそうです。Web会議だと「意思疎通が難しい」と言われます。
 確かに多数の方が同時に話をするのに向かないツールではあります。しかしながら「Web会議だと雰囲気がわからない」なんてことをおっしゃる方々も多くおられます。
 ただ、その場合皆様ビデオをオンにしていないことも多く「目隠しをして会議室に集まっても雰囲気がわからない」という状況と同じなのです。

 つまりこちらも「デジタルだから」という事ではありません。

 「デジタル自体が難しい」と思っている方々も多くおられますが、実は普段のリアルから辿ってみると案外簡単だったりします。

 また、デジタル自体が正しく使われていないケースもあります。

 たとえば、マイナンバーカードです。

 自己証明ができるデジタルカードですが、身分証明書としてアナログな使い方をされることがあります。

 券面に書かれているマイナンバーカード番号を手書きで書き写す、券面をコピーして提出す・・・デジタルカードなのに何か使いにくい。なんてことはないでしょうか?
 この使いにくい。部分だけを指して「デジタルって面倒」「難しい」と言われてしまうケースもあるのです。

 デジタルカードですから読み取りの仕組みがあればコピーをしたり番号を書き写したりする必要はありません。スマホなどを通じて情報を送ることもできる便利なものなのですが、デジタル自体に対応していないインフラを使うことで「使いにくい」「難しい」「面倒」となっているのです。

 たとえば、キャッシュカードやクレジットカードを「デジタルだから使いにくい」「難しい」という人は少ないと思います。

 実際には「マイナンバーカード」もデジタル機能で言えば、これらのカードと大差ありません。マイナンバーカードは難しくてキャッシュカードが簡単なのは「利用するデジタルインフラが整っているかどうか」の違いだけなのです。

どんなデジタルでも仕組みはリアルと同じ

 どのようなデジタルでも仕組みは実世界と大きく変わりません。
 たとえばアナログ放送がデジタル放送に変わっても画像と音声を送るという点では変わっていません。また、キャッシュカードも紙の通帳や窓口の人が行なっていた動作と大差ありません。

 パソコンも、スマホもタブレットも。プログラムで動くデジタルではありますが、その使い方自体はリアルをデジタルに置き換えたものなのです。

 セキュリティも同じです。警備員、監視カメラ、入退室管理など、リアルにあるものと同じものをネットワークやサーバの中に組み込んでいるに過ぎません。
 この辺りは12月23日発売のサイバーセキュリティ本にも書きましたのでそちらをご参照ください。


 「デジタルはよくわからない」ではなく、「リアルで例えるとどういうものになるのか」ということを認識してもらうとデジタル自体の理解が深まります。

 また、アナログ自体で認識していなかった処理や機能についてはデジタルについても大差ないですからそのまま気にせず使うことができるのではないでしょうか

 デジタルだから難しい。ではなく、デジタルでもアナログでも難しいものは難しいし、デジタルなら簡単になるということもある訳ですから、最初から突き離さず、少し触れてみてください。

 それでも分からない場合は、是非若い方に聞いてみてください。
 彼らは元のアナログは知らずに便利なデジタルを使っています。

 「昔はアナログでこういうことをしていた。」

 なんて話をしながら違いを見比べて見るだけでも若い方々との会話に繋がりますし、今時のデジタルがどういうものなのか。が分かるようになります。

 アナログレコードがいまだに持て囃される様に「便利なものだけが良いことではない。」という気づきが生まれるかもしれません。

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