今年こそDXを進めよう
新年一発目にDXの推進ネタを書きます。日本のDXは実際まだまだこれからと感じています。それは去年まで様々な場所で話をさせて頂いた際の反応や相談から着手できていない、または着手し始めたレベルのものが多かったためです。
ITとDXの違い
DXが進まない要素としてIT導入を目的にしてしまっているケースが多いからだと感じています。ITインフラについては、汎用機やオフコンなど、1990年代前半から進んできた流れです。紙で管理していたものをデジタルで管理する。ということが目的だったと思いますが、これはあくまでもデータをデジタルで保持、管理することが目的であり、何か新しい価値を生み出せているかというと「手段が変わっただけ」というものでした。
DXはX、すなわち変革が目的です。ITはあくまでも手段。その違いをしっかりと認識しなければDXは進みません。
ツールを入れることが目的、紙を電子化することが目的ではDXは進みません。
去年、一昨年と多くの企業の方々へこの違いの話をさせて頂きましたが、「やっとDXが理解できた」という感想が大部分でした。
DXを進めるためには、まずはこの部分をしっかりと認識することが必要です。
デジタルを難しく考えない
どうしても、デジタル業界に籍を置く人は横文字の「カッコいい言葉」を使いがちです。一方で、DXなどを検討したい現場や経営陣からすると「よく分からない言葉を話している」と感じてしまいます。難しい言葉を使えば使うほど、本質が理解できず、「デジタルって難しい」と考えてしまいます。結果的には、何ができるかが分からず、誰かにお願いしてやってもらう。というスタンスになりがちです。
確かにデジタル技術は見えないものも多く、難しく捉えがちですが、実態の物理法則などを無視した新たなもの、という訳でもありません。人が人の環境をデジタル上で再現している以上、難しく捉えなければ誰もが理解できるものなのです。
更に、デジタルは手段です。目的ではありません。
DXを進めるために必要不可欠なのは「自分達の目的がどこにあるのか」ということをしっかりと認識し進めることです。ただ、この目的も曖昧だったり、手段が見つかった時点で手段導入が目的化すると、DXはうまくいきません。最後の最後まで「自分達の目的がどこにあるのか」ということを持ち続ける必要があります。
中期計画などにDXを展開する際、最初に目的が描かれていたとしても、実行をしていく人たちや導入する人たちが常にその目的を認識していなければ、どこかで手段と目的がすり替わってしまうことが多くあります。関係者全員が真の目的をしっかりと認識し、時折「目的は何か?」ということを振り返る必要があります。
大きいことを考えない
DXというと、どうしても大きい変革を目指しがちです。
大きな変革を目標に据えるのは良いと思いますが、その目標を実現する目的とその目的を達成する手段については、最初から大きいことを考えない方が良いです。
特に手段についてはいつでも止められるようなものを最初は選ぶ方が良いでしょう。
実際、大手企業などでもDXで確実に成功する例はありません。やって見たもののうまく行かない、という際には「止める」という選択も必要です。
大手の場合は、まずは局所で試してみる。中小企業などであれば、業務用のしっかりしたものを構築する際に民生品や一般的なサービスでシミュレーションしてみる。ということも手です。
2時間映画のストーリーを作り、映像や音楽を作り、最後に試写をしてみたら何か違うな。となった際、数十億円の投資が無駄になります。特に、映像や音楽作りに慣れた人が作る訳ではなく、素人集団が作る訳です。まずはショートムービーを作ってみて、Youtubeなどで公開し、反応をみる。程度であれば、無料〜数千円で試せます。
その位の感覚で進めなければDXはうまく行かないですし、反応がよければ、少しづつ時間を長くする、ストーリーを練る、絵作りを凝る、本格的な音楽をつけるなどの展開が可能になります。
DXは他人事にしない
DXは全ての関係者が「他人事にならない」とこが重要です。
目的を据えたら全員が腹落ちする。位の認識をしなければなりません。
日本のDX推進はどうしても一部の部門だけで進める傾向がありますが、それでは乳部分の人が他人事になります。
他人事になった人たちは目的も認識していないことが多い訳ですし、目的が見えてなければ何のためにデジタルを入れるのかもわかっていません。
導入したが、効果が出ない。
利用者が増えない。
このような状況になってしまう場合、目的を認識していない人が多いことが原因となっていることが多くあります。
現場も、経営者も、お客様も、全てが納得感のある目的をもとにデジタル導入を進めることでDXが進んでいきます。