【雑感】2019年J2リーグ 第7節 対水戸ホーリーホック

東京ヴェルディ 0-0 水戸ホーリーホック

 J2トップクラスの名将と呼び声高い長谷部監督率いる水戸は限られた戦力ではあるが組織として完成度高さで正々堂々と戦い、その姿には見とれてしまうほどだった。水戸の積極的なプレッシング、スライドに対してヴェルディがどの様に立ち向かったかを振り返りたい。

<スタメン>

 前節・柏に勝利したヴェルディは中3日の試合だが同じメンバー起用、一方の水戸は細川と木村に替えてンドカと大卒ルーキー浅野を起用。両クラブともにシステムはこれまでどおり継続。

<水戸 左サイドからの攻撃>

 試合立ち上がりから主導権を握った水戸は前を中心にビルドアップしつつ、コンパクトに守るヴェルディに対して左サイド浅野と志知が積極的にドリブルを仕掛けてチャンス演出する。下記のコメントのように初先発の浅野はスピードに乗ったプレーで積極性が目立った。

<水戸 プレッシングとスライド>

 水戸2トップ清水と黒川はどちらかと言えばチェイスしてヴェルディ最終ラインをマークしてSB若狭、奈良輪にボールが渡った時にSH浅野、茂木がプレッシングをかけてDH前と白井がスライドしてそのスペースを埋めるという連携が目立った。その強度がとても高く、試合序盤のヴェルディはそのプレスに慌ててしまいボールを簡単に相手に渡す展開になってしまった。また、SH小池、佐藤優平がボールを持った際は対面するSB志知、岸田+DH前、白井の2枚で挟みサイドに追いこむ場面が多かった。

<ヴェルディ プレス回避による攻撃>

 積極的なプレーが目立つ水戸に対抗すべきヴェルディの攻撃はそれを逆手に取るものであった。それは、プレスをそれほど厳しくかけない2トップ清水と黒川、左右スライド中心で上下動の少ないDH前と白井のスペースを使う事だった。CB近藤と平は2トップ脇スペース、ヨンジは下りてきてアンカーとしてフリーになる。最終ラインでのビルドアップは大きく開くことでプレッシャー回避してここにGK上福元もPA外まで出て加わる事もあった。また近藤と平はボールを前進し始めてプレスの厳しい中盤を省略するかのようにロングフィードから攻撃を作り出す。

前半終了時のDAZNでの両クラブ平均ポジション。ヴェルディは両CBが大きく開いており、水戸は左SH浅野がかなり高い位置を取っていたことが分かる。

<コイッチ投入の狙い>

 後半に入って、連戦の疲れからか水戸のプレー強度が落ち始めてヴェルディが落ち着いて攻撃が出来るようになる。得点を奪いに行くために端戸と佐藤優平に替えてコイッチと梶川を投入。コイッチは林陵平の近くに位置し、梶川には優平と同じ役割を要求された。一方の水戸は前線の選手たちを交代して攻守で運動量を上げて勝利を目指した。前半同様に水戸DH前と白井はあまり上下動はしないため井上潮音と途中出場の梶川、コイッチと間で受けてボールを前進させることが得意な選手たちが多く絡むようになり水戸ゴールへ迫った。開幕戦以来の出場となったコイッチは相手選手を背負ってのプレー以外にも前を向いてプレーしてチャンスメイク、フィニッシャーを果たし水戸PA内で脅威を与える役割を担う。

<まとめ>

 お互いに持ち味を出して、その持ち味を消すという非常に手堅い試合となったがチャンスクリエイト回数などからは水戸が一枚上手(ヴェルディは辛うじて引き分け)という印象だった。過密日程のなかで後半途中から強度が落ちてきて間延びするオープンな展開となったが面白さが十分に味わえる一戦になった。ホワイト監督が見せた水戸攻略法は理にかなっていて相手の守り方を上手く活かしたもので今後の他クラブにも役立つかもしれない。