手術は怖くない、術後の痛みは…
風邪もひかず、歯医者すら行ったことがない健康体。それがロードバイクから落車して、人生初の入院。初めてづくしで面白かったので、記録に残すことにした。
**やっちまった! **
南伊豆の山の中。峠を越えて急坂を一気に下る。登りはしんどいけど、この瞬間は爽快そのもの。なんせ車を追い抜くほどのスピードで一気に駆け下りる。
ただこの日は雨上がり。路面が濡れている上に、荒れていた。アッ!と思った時にはバランスを崩して落車。左肩から思いっきり路面に叩きつけられた。しばらく痛みで身動き取れず、でも車も人も通る気配のない田舎道。
参ったな〜これ。何とか立ち上がり、路面に散らばったヘルメットとサングラスを拾い、自転車の所へ。ハンドルは曲がってるが、なんとか動く。よし!宿まで転がしたら車で病院に行ってみよう。ってか、運転できるのかオレ?左腕が上がらないし、猛烈に痛い。うううう。右手一本で自転車にまたがり、左肩、肘、脚から血を流しつつなんとか宿にたどり着く。
車、運転できるのか、オレ?何とかかんとか運転し、車で10分ほどの総合病院へ。若干受付時間をすぎていたが、事故とわかって診察してくれた。
困りましたねー
レントゲンを撮った後診察室に戻ると、ホントに困った顔の医師。
いやあ、こういう折れ方あんまりないんですよね。まあ、鎖骨の1番上の尖った骨なんですけど、ここはそうそう折れる所じゃないんで。
はあ、で、どのように?
うーん、手術した方がいいと思うんですけど、東京の大きい病院で診てもらって良いですか?
え?ここではできないんですか?
肩外来をやってるような大きな病院がいいと思います。
今思えば誠実なドクター
要は、自信なかったんでしょうね。処置を終えて宿に戻り、早速病院を探す。怪我したのは火曜日だが、外来は月曜だけというところが多く、結局隣の区にある病院の予約が取れた。ここ、googleの口コミやたら評判悪くて心配ではあるけど、病院なんてそんなもんだろうと自分に言い聞かす。
検査を終えて帰宅したら娘が入院前の差し入れを買ってきていた。
何やら高級そうなエビの姿焼きが4尾。これを病室に?面白い子だ。
え?もう一回同じ検査?
最初に診察してもらった病院でレントゲン撮ってるのに、また同じ検査。ああ、こうやって病院は儲けるのね。でもこっちはどーしよーもないよねー。
結果、骨折は二箇所。手術となった。
これなかなかない骨折ですよ。
あ、じゃあ良い症例になりますね。
はははは。なんか質問ありますか?
お酒はいつから飲めます?
退院したら良いですよ。入院中に飲んだら追い出します。
待ち時間が長い
入院当日。仕事が終わらず、2時の予定が2時半に。諸々手続き終わっても4時。後は何もすることない。
担当の看護師さんは今年卒業したばかりのカレンちゃん。まあね、手のかからん、病院的には「若い」患者を担当させるよね。
相部屋の向かい側は結構な歳のおじいさん。このおじいさん、平気でオナラやゲップするし、テレビ見てゲラゲラ笑うは、しょっちゅうナース呼ぶわで、相方としては最悪。
ヘッドフォンのボリュームを上げた。耳栓持ってきてよかった〜。
7回失敗3人交替
翌朝、手術着に着替えてスタンバイ。看護師さんが点滴を刺しに来た。カレンちゃん、見るからに不安げで手順を間違えては先輩に違う!と突っ込まれ、案の定うまくできず。2回失敗した後先輩にバトンタッチ。これもうまくいかず。刺せるところが限られてくるから難易度アップ。交替するたびに、少しずつ看護師さんの年齢が上がり、ようやく4人め8回めで成功。
もう、手術前に腕が痛いし嫌な汗出るしで、先行き不安になるわ〜。
まあ、重篤な患者さんとか、お年寄りの方が難易度高いだろうから、自分のところに新人が来るのは仕方ないか〜。
11時くらいと言われていたのに、結局呼ばれたのは14:20。もう、待ちくたびれた。
動物手術室と同じ
何やら懐かしい。10年以上前に勤務していた動物実験施設の手術室と作りが同じ。人も動物も同じなんだね。手術室の看護師さんは術衣が花柄。ベッドに横たわり、うら若い女の子に服を脱がされる。あああ、エロい!
はい、では少しずつ麻酔を入れていきまーす。
あ、まぢで朦朧としてきた〜。
なに人だオレ
小川さん、聞こえますか?(覚えてないので想像)
(何か英語で返した模様)
終わりましたよー(たぶん)
(何か英語で返した模様)
あれ、英語と日本語どちらが良いですか〜(ここは覚えてる)
どれだけ錯乱していたのか、なんで英語で答えてたんでしょうね。
手術を終えて出てきたらもう18時。3時間半気を失っていたのか。意識が戻ると同時に激烈な痛みが襲う。なんだこれ!ううううううううううううううううう!脂汗が滝のごとく流れる。こ、これなんとかなりませんか!
ナースコールを連打したら、ぶっとい注射を右肩に。少しだけ楽になる。激痛は変わらないが脂汗は止まった。
ようやく会話する余裕も。娘は10年少し前に気管支ガンの手術をして左肺の上半分と、がん化した気管支を切除したんだけれど、その時の術後の苦しみようと言ったらなかった。
夜中にもう一回痛み止めを打ってもらい朝を迎える。
我慢してください
朝、また痛みが増してきたので痛み止めを頼んだら、朝食後の分を先に出すという。少しずつ量を減らしていくのだろう。でもやっぱり痛い。
もう一錠もらえないの?
ダメです。我慢してください。
術後すぐはアルコールを控えましょう
帰り道にスーパーに寄ってビールを買い、ひっそりと退院祝い。
あ"〜、うまいわ〜。生きててよかった〜。
まさか30分後に悶え苦しむとは思いもせず。
アルコールを飲むと血流が良くなるので、痛みが増すのね〜。でもドクターが良いって言ったんだよ〜。ダメだよ〜術後すぐ飲んだら〜。
薬を飲んで痛みを和らげてから、2日ぶりにシャワー。そしたら娘が帰ってきた。
ありがと〜。でも父はさっきそれやって悶え苦しんだんだよ〜。(それよか、家事やっといてくれた方が助かるよ〜。)
変わらず、天然で和む〜。
まだ恐々だけど、少しずつ良くなってる感はある。
二段ベッドの一階で寝ているチャイ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?