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195の配置バランスと935の線の交差した暮らし

もとはと言えば、
自分のバランス感覚を軸として生きていけるのか
試したかった、という事だった。
(そう、ファッションセンスではなくってバランス感覚)

ミシンとそして時間があったから
布を買って
今まで知った素敵を
単純なカタチで好きなまとまりにできないのか。

作り始めて見ると、
予想外の箇所での“決断”が強いられたり、
いいと思って完成させても
生活の隣に置きたくない感じになっていたり、
細かい部分のデザイン(又はデザインしない)が
重要だと思えたり。
20から30は作ったと思う、試作。

そして、完成した195トートだから、
より上手く仕上げようと
毎日毎日、同じ白と紺の無地の195を製作していた
ある日、

935が生活の中で、
線を配置していたことを思い出し、

試しに描いてもらった白地。

いいと思った。
935と195が合体していると思った。

それが、この春復活した『Line-L』

当時はまさか、
毎回描いてもらうとは思っていなくて、
いい図案が幾つかできたら
プリントにしてって、
思っていた。

ところが、いろいろなこれを持ちたい方の意見を聞いていると、
みんな少しずつ違うことに気づいた。
そしてそればみんな、その人に合ういい意見。

絵描き935の方も
同じ線は描きたくないっていうので、
全て直接描いてもらうことにした。

その絵をみて、
どの位置にそれが来るのか考えて
裁断し直したりしている時、

それが仕上がって、ぴったりな方の元へ旅立ってゆく時、

予想外の喜びだった。

でもいつの日か、
その出発点の喜びを忘れて、
違う何かを求めていた頃、

今回の復刻のチャンスをいただけた。

初めのLine-Lを4年以上
持って歩いておられた方が、
その姿をみてずっとあのバッグはなんなんだろうと
思っていた方をついに動かして、

お店まで来てくれたのだ。
そのお店は
ハタケヤマ手芸店。

きっとそこの奥様だろうと思った方が、
それを確かめに松江まで。

『いつも奥様が持たれているバッグが欲しいのです』

195トート以外のものの制作に
明け暮れていた広島のアトリエに
その連絡が入り、

同じで良いのかちょっと変えるのか、
同じに描こうとして描けるのか、
同じ生地は手に入るのか。
同じはずだけど、ちょっと違うこの生地は、
洗ったり、芯を貼ったりして、
年月が経ったりして大丈夫か、

そして同じように縫えるのか。

という日々の末、
初心にかえる貴重な時間とともに
復刻Line-Lは完成し、
松江にお届けしたのでした。

何よりいい絵柄だ。

今回の出来事は、
そろそろ次の段階へ向かおうとしていた195modeleにとって
間違いなく感謝のきっかけになると思う。

その新しいお客様とはお会いできていないが、
こんな感情の経験をさせていただいて、
ハタケヤマ手芸店の方々にも奥さまにも
時と年月にも

全てに感謝して
もっともっと935の絵をカタチにして、
会いたい人に出逢って、

進んでいきたい。

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鈴木 郁子(Ikuko Suzuki)
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